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[別館記事更新] Fib-4 Index

HbA1cと平均血糖値との関係式の記事でも述べたように,帰納数式というものは 実データから導き出されたものです. しかし その数式を問答無用で すべての個人にそのまま当てはめようとするとおかしなことになります. 肝臓の線維化進行リスクを判定...
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第65回日本糖尿病学会の感想[12] インシリコって何?

【この記事は 第65回日本糖尿病学会 年次学術集会に参加したしらねのぞるばの 手元メモを基にした感想です. 聞き間違い/見間違いによる不正確な点があるかもしれませんが,ご容赦願います】 薬物実験の論文を読んでいると,"in Vivo" と ...
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第65回日本糖尿病学会の感想[9] 糖尿病性神経障害

【この記事は 第65回日本糖尿病学会 年次学術集会に参加したしらねのぞるばの 手元メモを基にした感想です. 聞き間違い/見間違いによる不正確な点があるかもしれませんが,ご容赦願います】 今回の学会では,教育講演とシンポジウムとで,糖尿病神経...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[16完]

ケトン体について,軽く 経緯と現状をまとめるつもりで始めたこのシリーズでしたが,文献を見ていくと 特に2015年以降,怒涛の如く報告文献がほとばしり出ていて,しかもそれらすべてが興味深いものばかりだったので,ついつい深入りしてしまいました....
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[15]

悪魔から天使に ケトン体は 昔から有害物と思われてきました. 糖尿病でケトアシドーシスを起こした人の血液から 高濃度で検出されるからです.たしかにケトン体は(アセトンを除いて)アセト酢酸やβーヒドロキシ酪酸という有機カルボン酸,つまり酸性物...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[14]

なぜケトン食がてんかんに効くのか てんかん発症機構は,脳腫瘍・外傷など原因が明らかなものを除いては不明です. ただ何らかの原因で大脳神経細胞(ニューロン)間の異常な信号のやりとりが継続してしまい,これはパソコンで言えばCPUが暴走してハング...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[13]

ケトン体は有効な薬物になりうる,特に心臓・腎臓にとって有効な薬となる可能性が明らかになってきました.ただし,現時点では まだケトン体を応用した薬剤は開発中ですので,ケトン体を薬として用いるには SGLT2阻害薬によって,体内のケトン体合成を...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[12]

治療薬としてのケトン体 ケトン体が,単なる代替エネルギーだけでなく,もちろん『脂肪の燃えカス』でもなく.生理活性も持つ ,しかも 心臓や腎臓には有用な作用を示すとなれば,ケトン体を治療手段として積極的に用いることは当然 期待されます. 実際...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[11]

ここまでの話をまとめますと, 従来 ケトン体は非常時の(=飢餓状態などの)間に合わせエネルギー源と考えられてきた.しかし最近は 生命の維持に関わる臓器(=心臓,腎臓)にとって重要なエネルギー源とわかってきた. ここで エネルギー源とは,細胞...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[10]

働き者の腎臓 (C) ケヴィン さん 腎臓は 体内で生じた老廃物を尿として排泄してくれる,大事な掃除屋さんです.腎臓は365日年中無休,しかも毎日が 24時間勤務というブラック環境です. 上図の糸球体は細かい血管がビッシリと球状に詰まったも...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[9]

使えるものは何でも使う 心臓は 人が生まれてから死ぬまで,一瞬たりとも休まず 1日にタンクローリー1台分の血液を送り出しています. (C) キリン904 さん 心臓は筋肉の塊のような臓器です.しかも寝ている時ですら動いています.寝ながら筋ト...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[8]

このシリーズは,第24・25回日本病態栄養学会で紹介された医学文献に沿って,『ケトン体が危険と言うのは間違い. それどころか人体には必須で有用なものである』という趣旨で書き進めております. ここまでのところで,本館の『お問い合わせ』 及び ...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[7]

前回記事にも書いたように,前日の夕食から翌日の朝食 までの 飢餓状態とはいえないような短時間の絶食でも,血中ケトン体は上昇します.私は特別厳格な糖質制限食をしているわけではありませんが,それでも前日の糖質摂取が少なかった翌朝は,血中ケトン体...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[6]

ケトン体は飢餓状態,つまり人体の非常事態の時のみ作られる代替エネルギーである という情報はまだまだ多いです.これではまるで,ケトン体は キッチンの隅っこに置いてある消火器のような扱われ方です.非常時には使われるが,普段は 使われていないとい...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[5]

前の記事で; ケトン体が作られる場所は,ほぼ肝臓のみです.そして 血管を介して多くの臓器にエネルギー源として送られます. と書きました.しかし主要臓器でありながら,ケトン体をまったく使わない臓器があります.それは肝臓です. なんと肝臓は ケ...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[4]

前回は,ケトン体は,脂肪酸を切り分けた アセチルCoAを原料として作られるという話でした. ただし,その製造場所は肝臓の細胞の中のミトコンドリアの中(より正確には ミトコンドリアの内膜の中のマトリクス)です.そして消費される場所は,各臓器の...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[3]

ケトン体に関する プチャルスカ博士のレビューを読み進めています.このレビューでは,ケトン体についての最新の知見が網羅されています. ケトン体はどこでどうやって作られるのか ケトン体が製造される場所は ほぼ肝臓のみです. ケトン体は脂質を分解...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[2]

代謝が破綻しているという極端な状態で発生するケトアシドーシスの例を挙げて『ケトン体は危険だ』というのは,交通事故でグチャグチャになった車の写真を見せて『車は危険だ』というのと同じだと言うのが前回の記事でした. ケトン体の断片的な情報だけでは...
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ケトン体は『飢餓時だけに生成される非常エネルギー』なのか[1]

危険なケトン体? ケトン体について日本の医学情報を検索すると, ケトン体(主にβヒドロキシ酪酸とアセト酢酸)は、飢餓時のようなグルコースが枯渇した状態において肝臓で産生され、速やかに脳や他の組織でグルコースの代わりに利用される日本医療研究開...
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朝の悪心(気分の悪さ)の謎はこれだったのか?

この記事をまとめるために,糖尿病を自覚して間もない頃の非常に古いデータまで発掘していたら; 当時の記録の中に 時々 不思議な言葉がありました. 10:30 悪心朝食後 悪心 などという文字です. すっかり忘れていましたが,そういえば まだ ...