病理

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食後の眠気・疲労感

実家からの帰途,新幹線を降りて駅近の書店をのぞいたら,北里大学病院の山田悟先生の近著が平積みで売られていました. (C) サンマルク出版 発売は3月だったようですが,私が買ったものは 第5刷ですから,よく売れているのでしょう(本日時点のAm...
学会

日本人の膵臓は弱々しい

日本糖尿病学会の年次学術集会で同時開催される教育講演とは,糖尿病専門医(あるいは専門医をめざす医師)を対象に,明日からすぐに役立つ 糖尿病の臨床知識を基礎から体系的に丁寧に解説してくれるものです. 今回も 20本の教育講演が行われており,6...
病理

[別館記事更新]食後血糖値がライフスタイルの違いで

先月までは,炭水化物だらけの外食を食べつつ,しかし 一日中体を動かしていました. しかし自宅に戻った今は,静養のため 普段通りの生活ですが さすがに運動する気力はありません. で,食後の血糖値はどうなったのでしょうか? ご興味のある方はご覧...
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糖の流れ

「糖のながれ」という言葉を日本で最初に使ったのは 河盛隆造先生でした. 食後にはブドウ糖は門脈に流入し,分泌されたインスリンも門脈に流入する. 肝糖放出率は直ちに抑制され,同時に何より重要なことは肝がブドウ糖を取り込む,肝を通り抜けたブドウ...
病理

糖尿病の精密数理モデル[10完]

数理モデルの将来 なんだか突拍子もないSFかと思うような話が続きましたね.たしかに医学の分野で 数理計算モデルをここまで突き詰めてみた例は 過去に見当たりません. しかし,ものすごく複雑・大規模な事象を,実際に コンピュータで徹底的にシミュ...
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糖尿病の精密数理モデル[9]

数理モデルの限界 グローバル監査法人PWC社が開発した 糖尿病発症予測プログラムBodylogicalは,その名の通り,人体(Body)全体をシミュレーションする とてつもなく膨大なモデルです. 現代医学では.患者個人をどれほど詳細に検査し...
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糖尿病の精密数理モデル[8]

PWCモデルを日本人に適用 このシリーズの そもそもの発端は,ケアネットのこの記事でした. 京都医療センター(旧 国立 京都病院)の坂根先生のグループの発表です. この論文の概要については,日経メディカルのインタビュー記事で 坂根先生 ご自...
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糖尿病の精密数理モデル[7]

さて,いよいよこのPWC論文の目玉である,『シミュレーションにより糖尿病発症を予測する』の部分です. Sarkar 2018 個人別プレディクション(=Prediction;予測) 前回までの結果で,監査法人PWC社が開発したプログラム(以...
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糖尿病の精密数理モデル[6]

監査法人PWC社が個人ごとの糖尿病発症予測プログラム(以下 PWCモデル)を開発しました. それは人体の代謝にかかわる あらゆる要素を可能な限り盛り込んだ数式の集合です.ただし,それだけでは具体的な数値が出てきません. そのためには 糖尿病...
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糖尿病の精密数理モデル[5]

しばらく京都に行っておりましたので,間があいてしまいました. ここまでのサマリーです 国立京都病院の坂根先生が,『食事療法には,低脂質食に向いている人と 低糖質食に向いている人とがあり,個人ごとに相性がある』と発表しました. どうやってその...
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糖尿病の精密数理モデル[4]

糖尿病の発症を 個人ごとに予測するコンピュータシミュレーションプログラムを PWC(プライスウォーターハウスクーパース監査法人)が発表しました. これまで この種の研究は 多数ありましたが,どれも実用化の声を聞かないことからわかるように,モ...
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糖尿病の精密数理モデル[3]

グローバル監査法人であるPWC(PriceWaterhouseCoopers LLP)が 発表した『2型糖尿病の発症をコンピュータで予測する』文献の内容です. Sarkar 2018 この予測プログラムは膨大なシミュレーションです. つまり...
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糖尿病の精密数理モデル[2]

前回記事は,糖尿病の状態をコンピュータによるシュミレーションで解析するという内容でした. このような試みは HOMA を初めとして いくつか行われているのですが,いずれも簡略化したモデルなので,計算結果が出せたとしても どの程度の実用性があ...
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糖尿病の精密数理モデル[1]

なんだかよくわからないタイトルですね. 冬休みの宿題にウンウンうなって読み解いた文献のご紹介です. (C) なゆみ さん そのきっかけは,ケアネットのこの記事でした. 京都医療センター(旧 国立 京都病院)の坂根先生のグループの発表です.『...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_8【完】

ここまでの話のまとめです. SU剤を服用していた人が 同時にDPP-4阻害薬を同時に服用すると,重篤な低血糖を起こすことがあるという症例報告から,SU剤がどのように働いているのかという話に脱線したように思われるかもしれません.しかし,実はこ...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_7

そもそもSU剤って そもそもSU剤は,どうやって膵臓からインスリンを『絞り出して』いるのでしょうか? 血糖値が高くなると 膵臓β細胞からインスリンが分泌される仕組みは,教科書では下図のように説明されています. 血糖値が高くなると,ブドウ糖は...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_6

重篤低血糖 SU剤を服用していた患者にDPP-4阻害剤を追加投与したら,低血糖,それも長時間意識を失うほどの重篤な低血糖に至る事例が複数件 発生しました(詳細は前回記事). 幸いにも死者は出ませんでしたが,そうなっていてもおかしくないほどの...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_5

2009年12月にDPP-4阻害薬が発売されてからまだ半年も経過しない内に,衝撃が走りました. DPP-4阻害薬の服用を開始した人に低血糖が頻発したのです.もちろん新薬でなくとも糖尿病患者が低血糖を起こすことは 珍しいことではありません.イ...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_4

2009年12月に DPP-4阻害薬が日本でも発売されました. DPP-4阻害薬は,食事により直ちに消化管から分泌されるインクレチンの効果を増強して,血糖値が高くなった時だけインスリン分泌を促進する これは日本人の糖尿病に多いインスリン分泌...
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DPP-4阻害薬は『弱い』薬なのか_3

実際に使ってみた 2009年5月 第52回 日本糖尿病学会では,糖尿病の新薬 DPP-4阻害薬が華々しく紹介されましたが,その2年後 2011年5月の第54回 日本糖尿病学会では 早速DPP-4阻害薬を実際に使ってみた各地の病院からの症例報...