これまでの経緯

[このままでは自分は糖尿病になるのではないか]と予感してから,現在までの経緯です.

発端

10年ほど前からじわじわと空腹時血糖値が上昇して,ついに産業医から『注意した方がいいですよ』と言われました.その時点では血糖値124,しかし再検査では108だったので,直ちには糖尿病宣告とはなりませんでした. それがきっかけで血糖値測定器を購入し,食事内容と食後血糖値を頻繁に測定したところ,米・麺類を普通に食べると食後は軽く200を越えることに気づきました.青ざめました.

ガイドラインを忠実に実行

糖尿病専門医である大学同期に相談したところ,「まだ投薬治療するほどではないな.これを読め」と言われて,彼の奨める通りに,当時日本糖尿学病学会や日本糖尿病協会が発行していたパンフをすべて読み漁りました.血糖値測定器(SMBG)も購入して食後の血糖値も測るようにしました.

最初はパンフに書いてある通りに,揚げ物や肉類は避けて,高糖質の1600kcalカロリー制限食と,電車は必ず2駅手前から歩くというウォーキングを忠実に実行したものの,血糖値は改善どころか悪化するばかりでした.当時は 仕事中も頭の中に【糖尿病】という単語がずっしりとのしかかっていました.ついに朝の血糖値が150を越える日がでて来るに及んで,『れっきとした医学系の学会が発行しているパンフレットを忠実に実行すると,糖尿病が悪化するとはどういうことなのか』と純粋に不思議に思い,欧米,特に米国の文献を見ると,日本の医学文献とは全然違うことが書いてあり,そこからやっと江部先生のブログにたどりつき,2011年の半ば頃に糖質制限食に切り替えました.

糖質制限食に変更

2012年には糖質制限食の効果がFullに現れて,食後血糖値は上がらなくなりました.また,昼食直前,夕食直前の空腹時血糖値も100前後になりました. 反面,起床時の血糖値のばらつきだけがまだ大きく,時に高い値も出ていました.

日本糖尿病学会や日本病態栄養学会の年次学術集会にも参加して,日本の医学・栄養学の情報を集めては欧米文献と比較するということを始めたのもこの頃です.

2014年には朝の血糖値が100を越える日も少なくなり,また数値のバラツキも小さくなってきました.

現在は小康状態

現在では1日を通して血糖値が150を越えることは[食後のどの時点でも]なくなり,HbA1cも5.2-5.5で安定しています.糖質制限食を始めたころは,『これでは食べるものは非常に限られてしまうな』と悲壮な覚悟でしたが,自分の耐糖能を認識し,食物の含有糖質量の見積りさえできれば,かなり柔軟に食事を選べるようになってきました.

「糖質制限食の長期安全性は確認されていない」という人はいますが,それは学会の勧めるカロリー制限食でも同じこと.どちらにも長期安全性のエビデンスなどありません. さらに言えば,『経口糖尿病薬の投与により,糖尿病患者の総死亡率が低下した』というエビデンスも実はないのです.

したがって私にとっては,現在の「自分流の糖質制限食と適度な運動」が最良の選択肢です.