病理

【続】肝機能指標と糖尿病[5]肝機能の警戒ラインはいくつから

久山町の 40~79歳の住民で,糖尿病ではない人を平均9年間追跡して,この期間に糖尿病が発症した人と発症しなかった人との間には どれくらい肝機能指標に違いがあるのかを調べた研究です.OBESITY Vol.15 No.7 July 2007...
病理

【続】肝機能指標と糖尿病[4]肝機能が正常値でも

久山町研究で,糖尿病ではない 1,804人(男性 719人;女性 1085人)を平均9年間 追跡したところ,その内 135人が糖尿病になりました.肝機能指標の四分位そこで,研究開始時点に測定しておいた 肝機能指標と,糖尿病発症率とにどれくら...
病理

【続】肝機能指標と糖尿病[3]肝機能は糖尿病を予測するか

久山町研究久山町は福岡市の東に隣接する 人口8,000人ほどの農村です.小さな町ですが,年齢別人口構成がほぼ日本全国のそれと一致していることから,『日本の縮図』でもあります.そして九州大学が1961年以来 この町で継続している疫学研究の蓄積...
病理

【続】肝機能指標と糖尿病[2] 久山町研究から

健康診断や通院時の採血検査で,血糖値と同時に必ず測定される 肝機能指標(AST, ALT, GGT)は,それ自体が独立に,糖尿病の重症度を推測できる指標であることは知られています.なぜなら 肥満型糖尿病では,脂肪肝がインスリン抵抗性を高めて...
病理

【続】肝機能指標と糖尿病[1] 肝臓からもみえてくる

(C) 上田 ひろこ さん自分が糖尿病だと,どうしても 血糖値やHbA1cの数値だけに気を取られてしまいます.定期通院している方なら,その都度 血糖値・HbA1cは検査してもらえますから,その数値を過去の結果と照らし合わせれば,自分の糖尿病...
食事療法

第35回 管理栄養士国家試験[5完] 頭をかかえる教育機関

(C) 猫島商会さん今回の国家試験で,応用力を試す問題(第180-182問)に対して,試験直後に栄養専門学校などから発表された解答速報は, 182問の正答を (2)又は(4)とするものが多かったです.しかし,一般的には好ましくないとされてい...
食事療法

第35回 管理栄養士国家試験[4] 絶対解と最適解

(C) MAMOさん応用問題 第180~182問と その正答は以下の通りでした.おそらく多くの受験生がこの問題,特に 第182問は間違えたでしょう.そう推測できる根拠があります.2月28日に国家試験が行われ,その翌日から 栄養専門学校などか...
食事療法

第35回 管理栄養士国家試験[3] 応用力問題

(C) なのなのな さん今年の2月28日に行われた 第35回 管理栄養士 国家試験 で,『糖尿病』に関連する問題と正答を検討しました が,一昨年までは必ず出題されていた糖尿病の唯一の正しい食事療法は 『食品交換表』による 炭水化物60%のカ...
食事療法

第35回 管理栄養士国家試験[2] 糖尿病に関する問題と正答

問題と正答今回の国家試験 全200問中,『糖尿病』という単語が登場したのは合計 4問でした.以下 厚労省が公表した正答と併せて再掲します.第24問解答の(1)から(3)は,まるで正反対で明らかに間違いです. 解答の(5)で,OGTTは耐糖能...
食事療法

第35回 管理栄養士国家試験[1] 問題が発表されました

今年の2月末に,第35回 管理栄養士国家試験が行われました.管理栄養士の受験資格と出題範囲管理栄養士の資格を得るには,大学栄養科卒 又は それに相当する が必要です.試験出題範囲は;社会・環境と健康人体の構造と機能及び疾病の成り立ち食べ物と...
病理

糖尿病と遺伝[9完] そもそも論に戻って

2003年頃から,ヒトの遺伝子解析技術が飛躍的に向上したことにより,『糖尿病有病者と正常者の遺伝子を比較すれば,糖尿病の原因遺伝子が見つかるはずだ』という考えの元に,精力的に探索が進められました. 当初は『生まれた子供の遺伝子を調べるだけで...
病理

糖尿病と遺伝[8] 遺伝子だけでは決まらない

ヒトの全遺伝情報解析により,わりと早く解明されるであろうという期待を裏切って,『糖尿病はどこまで遺伝に左右されるのか』という問題は,『遺伝学者の悪夢』として悩ませ続けています.どれほど詳細に『糖尿病に関連する遺伝子』を調べても,それは糖尿病...
病理

糖尿病と遺伝[7] 本命は未踏領域に?

ありふれた遺伝子変異ヒトのゲノム全解析が進むにつれて,多数の『糖尿病に関連する遺伝子』が発見されてきたのに,それらをすべて合わせても 実際の糖尿病の遺伝率=30%の内,10%程度しか説明できない.これは 古典的遺伝学者だけでなく,分子遺伝学...
病理

糖尿病と遺伝[6] 失われた遺伝率

計算が合わない技術の進歩により,一人の人のすべての遺伝情報を余すことなく全解析することが,安価に しかも 短時間で行えるようになって,『糖尿病に関連する遺伝子』の発見が続々と報告されるようになりました.しかし,それらの遺伝子の『遺伝力(遺伝...
病理

糖尿病と遺伝[5] 遺伝の力

かつて糖尿病は,形質遺伝を研究してきた学者にとっては悩みの種でした.古典的なメンデルの法則に基づき,『糖尿病の原因となる遺伝子』の存在を仮定して,どれほど多数の家系を詳細に調査しても,実際の糖尿病有病者の発生を説明できないのです. メンデル...
病理

糖尿病と遺伝[4] どうしてそうなるのか

どうしてそうなるのか現在発見されている『2型糖尿病に関連する遺伝子』は300~400もあるというのが前回記事でした.ヒトの遺伝子データベースで糖尿病関係のリストを見ると;Gene-Database(C) NCBIこのように,現在までに判明し...
病理

糖尿病と遺伝[3] 答えはすぐに出せる…はず

答えはすぐに出せるヒトのDNA全配列が解析され,しかも それが短時間で安価に行えるようになると,世界の糖尿病医学者は色めき立ちました.正常な人,そして糖尿病の人のDNAを片っ端から全解析して,『一致しない部分』を探し出せば,その一致しない部...
病理

糖尿病と遺伝[2] 家系図からコンピュータに

遺伝とはメンデルの法則によって,親から子に形質を伝える遺伝子というものが存在しているらしいことは古くからわかっていました. ただし そのメカニズムは不明でした.一人一人の遺伝子を詳細に解析できるようになったのはつい最近のことであり,それまで...
病理

糖尿病と遺伝[1] はっきりせんかい

2型糖尿病と遺伝ここで取り上げる『遺伝』とは,いわゆる『遺伝性糖尿病』は含みません.つまり 原因が特定の遺伝子の変異又は異常であると解明されていて,完全にメンデルの法則通りに遺伝する MODY(Maturity Onset Diabetes...
学会

[第55回糖尿病学の進歩]感想記事(8完) 面白かったです

第55回 糖尿病学の進歩日本糖尿病学会が,主として糖尿病専門医向けに開催している『糖尿病学の進歩』を,閉会ギリギリの昨晩23:59までみっちりと聴講しておりました.学会が行う行事には,これ以外にも『年次学術集会』や,分科会別のシンポジウムで...