日蓮宗では 勤行(=毎日行う読経)の際に『団扇(うちわ)太鼓』を叩きながら行うことが多いようです.
別に強く叩けば それだけご利益が増すというものではないのですが,打楽器というものは 連続して打ち鳴らしていると,リズムに乗ってついつい強く叩くようになってしまうものです.
その様子を表現したのが タイトルの『だんだんよく鳴る法華の太鼓』です.
だんだんよく効くイメグリミン
ところで この記事でも紹介したように,イメグリミン(商品名:ツイミーグ)は.投与1~2ヶ月までは ほとんどHbA1cに変化が見られず,それから数ヶ月かけてじわじわとしかし着実にHbA1cが下がっていく,どうやらこれは確実なようです.
実はこういう効き方をする薬は非常に珍しいのです. ほとんどの薬は 投与直後に ドンと効果が表れて,そのまま投与を続けていると その状態が維持される,又は徐々にリバウンドしてくる,というものがほとんどです.
下記は SGLT2阻害薬;ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の例ですが,ほとんどの薬はこういう形になります.
ですから,イメグリミンの『じわじわ曲線』は 本当に特異なのです.
イメグリミンも腸で効く?
メトホルミンとイメグリミンは そっくりの構造をしています.
そして,メトホルミンは,実は小腸から吸収されて全身に循環するのは 服用した分の半分くらいにすぎません.残りは吸収されないのです.
ではこの半分のメトホルミンは そのままウ★チになって出てしまうのかというと,そうではありません.
それどころか メトホルミンの服用を続けていると,吸収されなかったメトホルミンは次第に小腸の下部に蓄積していき,最終的には血液中の濃度よりも30~300倍にもなり(Bailey 2008),そこで薬効を発揮しているらしいことがわかりました.
つまり,メトホルミンがフルに薬効を発揮するのは,投与を何か月か継続した頃なのです.このことは 下の長期投与試験の結果を見ればわかります.最初の3ヶ月で HbA1cが1%ほど下がりますが, その後も下がり続けて1年後には更に1%下がるのです.
メトホルミンのこういう特性が原因なのでしょう,一部の短気な医師は『メトホルミンは投与しても効き目がが鈍い』『メトホルミンは 1,000mg以下では効き目がない』などと表現します.たしかに最初の1ヶ月だけを見るとそうでしょうね.
ここまで 書けば お察しいただけると思います. あくまでもぞるばの個人的観測ですが,イメグリミンの『すぐには効いてこない』特性は,メトホルミンとまったく同様に,服用を続けていると,次第に小腸下部に蓄積・濃縮され,そこから本格的な実力を発揮するからだと考えています.
[続く]
コメント