2020年 糖尿病イベント案内[3完]

日本糖尿病学会 年次学術集会

5月21日(木)~23日(土)大津市で第63回 日本糖尿病学会 年次学術集会が開催されます.

現時点では プログラム等の詳細は不明ですが,昨年 発行した『糖尿病診療ガイドライン 2019』で打ち出した「糖尿病診療の個別化」を今後どう具体化していくのかがテーマになると予測されます.

既に 昨年年末に発行された,医学専門雑誌『プラクティス 2019年11・12月号』では, 『糖尿病の個別化治療に向けて』という特集記事が掲載されましたが,

(C) 医歯薬出版株式会社

カロリー制限食の枠組みは変えずに,どうやって『個別化』が図られるのか興味深いところです. また,米国糖尿病学会では,

すべての糖尿病患者に適用できる( One-Fits-All )理想的な P/F/C比率など存在しない

という原則を打ち出していますが,この点に関しては日本糖尿病学会のスタンスはあいまいです.
世の中に「必須アミノ酸」および「必須脂肪酸」というものは存在しますが,「必須炭水化物」というものはありません. ですから栄養学の基本からいえば,蛋白質と脂質については 『必要最低摂取量』(その質も含めて)だけを規定し,残りは『患者の病態・年齢・食嗜好により異なる』とするのが妥当なのですが,そこまで踏み込めるかどうか.

『糖尿病治療ガイド』発売

なお,1年おきに糖尿病学会から発行される,非専門医・一般内科医向けの『糖尿病治療ガイド』の 「2020-2021」版は,6月1日が発行日ですが,この学会の会場ではそれに先立ってフライング発売されるのが通例です(下図は2年前の 2018-2019版).

(C) 文光堂

内容はもちろん「糖尿病診療ガイドライン 2019」のダイジェストであり,それ以上の内容になることはないでしょう.ただし 700円程度(今年は800円に値上がりか?)と安いし,大書店であれば全国どこでも入手できます.

6月以降,基本的には大きなイベントはありません. ただ 国内外で あらたに大規模試験の結果などで驚くような新事実が明らかになれば,日本の医学界も影響されるかもしれません.

期待の新星

本年中に進展があるかどうは不明ですが,個人的には ビグアナイド系の新薬候補『イメグリミン』;

の実用化が近づくかどうかを注視しております.

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