イメグリミン(商品名:ツイミーグ)については,本ブログでも以前から注目しておりました.
イメグリミンは 2021年9月に販売され,それまでの臨床試験ではなく 実際に糖尿病患者への投与が始まりました. その効果については 本年 5月に神戸で開催された 第65回日本糖尿病学会 年次学術集会でも 数件の投与症例が報告されました.
ただし なにしろ まだ発売からあまり時間が経っていませんので,この薬の総合的な有効性(Efficacyではなくて Effectivenessの方の『有効性』)はまだ未知数です. おそらく次回の第66回日本糖尿病学会 年次学術集会(鹿児島)ではかなり多数の症例が報告されるでしょうが,評価が定まるには 少なくとも数年かかるでしょう.
イメグリミンの短期効果
そんな中,イメグリミンの服用開始直後に見られた変化が 岩手医科大学から報告されました.
イメグリミンの投与を開始した2型糖尿病の32名を対象として,服用前後での血糖値プロファイルの変化を リブレで観察した後ろ向き研究です.
対象患者はこの通りでした.
罹病期間が平均で13.5年と長い割には HbA1cが7~8%前後と,一見 かなり良好に思えますが,それまでの治療経過を見ると そうでもないことがわかります.
イメグリミンを服用開始する直前での治療状況はこの通りでした.
32名中 21名がインスリンを使用しているのです. GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)を単独又は併用で使用している人もいます.これだけの投薬をしていて なお HbA1cが7%台です. なので本当は もう一段HbA1cを下げたいところなのですが,適切な次の一手が見当たらないという状況です.
この方たちに イメグリミン服用開始前 及び 服用開始後に,それぞれ2週間ほど リブレ(医療用のリブレProではなくて 普通のリブレ)を装着してもらい,服用前後の血糖値プロファイルの変化を調べました.
その結果はこうでした.
TIR(Time In Range), 即ち 血糖値 70~180mg/dlの範囲に収まっている時間が 67.9%→79.5% と増加したのです. 短期間でのこれだけの変化は注目に値します. 当然 血糖値が 180mg/dlを越える時間帯=TAR(Time Above Range)も 29.4%→17.9%と半分近くにまで減少しています.
イメグリミンは『投与開始後1ヶ月程度は効果が弱いのではないか』という学会報告もありましたが,血糖値変動の安定化には効いているようです.
[続く]
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