肝機能指標と糖尿病[3]~やはり耐糖能と相関します~

前回記事 URL で紹介した 医学文献は;

Journal of Hepatology Vol.38, 18-23; 2003

対象者全員が 鍛え上げた中年男性自衛官という,日本の文献にしては非常に珍しい 『質の揃った』ものです.日本人でこれに匹敵するものを探すと 体育大学の学生を対象としたものぐらいで,この場合は まぶしいほどの健康な若者の集合体ですから,オジサンには参考になりません.

対象者は,最初4883人いたのですが,そのうち262人はこの試験に含めていません.除外した理由は,インスリン治療を行っている,既に肝障害があるなどです. よって,1型糖尿病の方は含まれません.

残った対象者4621人には まず全員 75g糖負荷試験を受けてもらいました.ただし,この段階ですでに医師から糖尿病と診断されていた人(112人)は,投薬の有無を問わず 糖負荷試験を除外しています.

糖負荷試験結果

糖負荷試験結果を 前回記事 のWHO基準にしたがって分類しました.

表中,「新規T2D」とは,今回の糖負荷試験で初めて糖尿病型であることがわかった人のことです.

この結果は,さすが自衛官といえます.耐糖能正常の人が多いのです.

厚労省によれば 「40歳以上では,3人に1人が糖尿病又はその予備軍以上」とのことです.
ところが上記の結果では,現に糖尿病治療中の人も含めても 4,621人中 3,410人が正常なので73.8%となり,予備軍以上の人は ほぼ4人に1人であり,日本全国平均からみれば優秀な集団です.

肝機能検査結果

耐糖能分類別に,肝機能検査の平均値は以下のとおりでした.

いずれも,平均値だけを見れば 基準値範囲内に収まっています. ただ平均値だけでは これ以上話は進みません. そこで,各指標について,どのような分布になっているのかを見る必要があります.

[4]に続く

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