肝機能指標と糖尿病[4]~平均値にだまされないで~

γ-GTPは糖尿病の程度に比例

前回の耐糖能別 肝機能検査 平均値の結果から,数値が良い順に;

耐糖能正常 ≒ IFG(空腹時血糖値障害) > IGT(耐糖能障害) > 糖尿病型

であることがわかりました. 特に γ-GTP は糖尿病の程度に比例して高くなっています.(治療中の人は投薬の影響もあるので,ここでは除外)

一方 ASTやALTは,ほとんど差がないように見えます.

各耐糖能の平均 肝機能検査値
(注)「新規T2D」とは,今回の糖負荷試験で初めて糖尿病型であることがわかった人

しかし,これは平均値だけを見ているからそうなのであって,別の見方をすると違った姿になります.

基準値をオーバーしている人たち

私はこのブログで何度も『平均値だけでは,実態を見誤る』 と連呼しています. 特に この例のような健康診断の検査値は,多くの人は正常範囲内であっても,少数の高値の人がいる場合がほとんどです. しかし平均をとってしまうと,その少数者の存在は多数に埋もれてしまうのです.

平均値のマジック

そこで,この報告では ASTが高値(>40)の人,ALTが高値(>40)の人 及び γ-GTPが高値(>50)の人,つまり基準値上限を超える人のみをカウントしています.結果は下の通り.

基準値上限を超えている人の割合

平均値だけではわからなかった傾向が かなり明確になってきました.耐糖能の悪化と共に,γ-GTPだけでなく ASTやALTも上昇していくことがみてとれます.

[5]に続く

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