病院の教育入院などでは,血糖値管理ノートを渡されて,自分で血糖値を測定して記録するようにと言われます. ですが,その記録された数値を調べてみると,
その結果,ほんとうですか?
入院患者で,自己血糖値測定を指示されている人がノートに書いた測定結果と,SMBGのメモリーに残っていた『真の測定値』とを照合したところ,過小値記録(高血糖を低く書いた),過大値記録(低血糖を正常値として書いた)が それぞれ10~15%あったそうです(日本糖尿病学会 2012年 II-15-6).
血圧記録ノートでもそうですが,SMBGノートの虚偽値を見抜くのは割合簡単だそうです(糖尿病学会 2018年 III-P-194). 本人はランダムに数字を書いたつもりでも,どうしても『好きな数字』の頻度が高くなるのです(下のグラフは学会発表のものではありません).この人は1と5が好きなようです.
これではバレバレです.ですから, せめて 下一桁だけはサイコロを振って出た目の数字にしましょう….ってそれでは7以上の数字が出ないですね.
それ以外にも虚偽記載を見抜く方法としては;
– ある日から急に数字がよくなる.
– 定期受診日が近づくと,急に高い数値がなくなる.
– 妙に同じような数値が並ぶ
なども 見抜く方法だそうです.だてに専門医はやっていないということですね.
虚偽申告をする理由
アンケートをとってみると,本当の測定値を書かなかった(書けなかった)理由で,多かったものは;
- 高血糖の数値では医師に叱られる(のではないか)
- 高血糖の数値は,申し訳ない
- 低血糖があったというと,治療がうまくいっていないと言ったと思われる.
- 単純に測定が面倒なので,適当に書いた
- 自分でこの値はおかしいと思ったから記入しなかった.
などだそうです.
医師は怒りません
しかし糖尿病学会では,虚偽記載を見抜いたとしても,患者をあからさまに問い詰めないよう呼びかけています.それよりも,虚偽記載には気づかなかったふりをして,その患者が,医者には言えないどういう思いがあるのかを,会話から聞き出しなさいとしています.
糖尿病と宣告されてもそれが受け容れられない人,長年の治療に疲れ果てた人...血糖値ノートに測定値をそのまま書けない人には,やむにやまれぬ心の葛藤があるからそうしたのです. ですからセーラームーンにお仕置きはされません. ご安心を.
コメント
こんばんは。
面白いお話でした。
食事内容のアンケートで、つい少なめに申告してしまうみたいなものですね。
気持ちは分かるけど、わたしは正直に書いてますね〜
どんなに高血糖でも、医師に怒られることはないです。
だって、ちゃんと見てないから…
こっちは(するなと言われても)一喜一憂しながら真面目に記入してるのに(笑)
highbloodglucose 様;
おはようございます. ブログ全記事読みました.
読んでいくと,実に内容の深いことをサラッと書いておられるので,考え込んでしまうこともしばしばでした.
今後とも 気軽にコメントしてください.