第64回日本糖尿病学会の感想[7] 再開 学会発表1

WEB学会終了

第64回日本糖尿病学会 年次学術集会は,昨晩零時に 一部のコンテンツを除き すべてのWEB配信を終了しました.前回に引き続き,今回もコロナのために 全面WEB開催となりましたが,通常形式よりは むしろこの方が多数の講演・発表を聴ける(しかも一杯ヤリながら)ので,私は歓迎です.

講演聴講の感想記事は,この記事まででしたが;

その続きを再開します.

学会発表[一般口演・ポスター発表]

通常の糖尿病学会で,件数ベースでは 講演の9割近くを占めるのが,会員からの一般口演・ポスター発表です.医学に限らず,研究者が『この間の学会で発表してきたよ』と言えば,このことです.

学術研究の成果は,通常はその分野の学術誌での論文発表が普通です.そして研究者もその論文で評価されます. しかし学術誌に原稿を送っても,それがそのまま掲載されることは稀です.掲載されるためには,原稿の内容について事前の査読・審査など多くの関門があり,データの補充や書き直しを求められることも珍しくありません. 最悪の場合は掲載拒否[却下]されます. 学術誌側としては,変な論文を掲載してしまったら権威にかかわるからです.バルサルタン事件のように,提出された論文が捏造されたものだと見抜けなかった場合は最悪で,専門学術誌の恥辱となります.

話が脱線しますが,あちこちでマスクの着用を拒否してもめごとを起こしている人物は ,修士号は得たものの ,博士課程在籍中に 専門誌に規定の本数の論文発表ができず,博士号を得られませんでした.これがあの行動の一因ではないかと言われています.

これに対して学会発表の方は, 相対的にはハードルが低いです. 学会発表を申し出ると,一応 その原稿に対して事前審査はあるものの,学会開催の数か月前に締め切られた多数の発表予定原稿をすべて入念に審査することなど不可能でなので,よほどふさわしくないものでない限り,発表が許可されます. したがって,発表する方も,それを聞く方も 割合気軽です.学会発表は『言いっぱなし・聞き流し』です.

ただ,だからと言って,学会発表のレベルが低いというわけではないと思います.論文という形式にはまとめられないけど,実際の役に立つ『豆知識』や;

思わずニヤリとする面白い話もあります.

このような例が今回の学会でも多数ありました.新聞・テレビやネット情報では得られない貴重な情報がたくさんありました.

[8]に続く

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