日本糖尿病学会が医師向けに発行している 診療・治療ガイドラインでは,高齢糖尿病患者の特徴は詳しく書かれていても,なぜ加齢で糖尿病が発症しやすくなるのか,その原因については書かれていませんでした.
ところが,この資料を見ると;
この加齢に伴う耐糖能障害,糖尿病患者の増加は,
『糖尿病専門医 研修ガイドブック』p.401
(1)加齢に伴う内臓脂肪の増加
(2)筋肉量の低下
(3)肝臓でのインスリン抵抗性の増大
(4)身体活動量の低下によるインスリン抵抗性の増加
(5)ミトコンドリアからの活性酸素放出や酸化ストレスの亢進
(6)膵β細胞のテロメア長短縮などによるインスリン初期分泌の低下
が原因と考えられている
(1)(2)は,一般的な老化現象そのものですし,(3)(4)は 何が何でも 「糖尿病」=「肥満」=「インスリン抵抗性」で片づけてしまう 欧米糖尿学のコピーでしょう.さらに (5)は 何も高齢者に固有のことではありません.
しかし (6)の『テロメア長短縮』とは,学会資料では初めて見かけた記載です.
『テロメア』って何だ?
ヤマザキマリのコミックのことでしょうか?(← それは『テルマエ・ロマエ』!)
テロメア telomere とは,人間の遺伝情報が記録されている 染色体DNAの端についている『リードテープ』のようなものです...って,まず『リードテープ』が死語ですね.
この記事で磁気録音テープ(カセットテープ)のことに触れましたが;
最近はカセットテープすら見たことがないという人もいるでしょう. まして 更に昔の録音テープは,ちょうど映画のフィルム(これも死語かも)のように オープンリールに巻かれていました.
これを下のような『テープデッキ』にかけて,テープリールがグルグルと回りだすと磁気テープの録音信号がヘッドで読み取られて 音声に変換されました.
ただしこの頃の磁気テープには,磁気記録テープの前後に『リードテープ』がついていました.
これは大事な情報が記録されている磁気記録部分をリールに巻き付ける時に,破損しないように保護するためのものでした.
テロメアとは染色体の『リードテープ』なのです.
[3]に続く
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