2021年 糖尿病治療は変わるか[6] コンセンサスに達した?

『糖尿病診療ガイドライン』『食事療法』『コンセンサス』で検索していたら,この記事が出てきました.学会の発行する『糖尿病』2020年3月号 第63巻3号の記事です.

糖尿病 第63巻3号

『コンセンサスステートメント策定に関する委員会』とは,日本糖尿病学会に新たに設置された委員会で,米国糖尿病学会(ADA)のコンセンサス ステートメントにならって,既に発行されたガイドラインにつき,追加・修正すべき事項がある場合には適宜Updateしていこうという趣旨のようです.

そこで,日本糖尿病学会として,今後はアップデート事項を適宜コンセンサスステートメントとして刊行していくことを決定した.

今回は,その第1報として,「糖尿病患者の栄養食事指導」をテーマにコンセンサスステートメントを作成した.我が国における糖尿病患者に対する栄養食事指導の考え方やその指導について,アップデートが必要なフォーカスすべき4つの内容(目標体重および総エネルギー摂取量の設定,炭水化物の摂取量,タンパク質の摂取量,管理栄養士による栄養食事指導)で構成している.主に糖尿病の管理を目的としたものであるが,タンパク質の摂取量においては,糖尿病性腎症やサルコペニア,高齢者の場合に関しても言及している.

『糖尿病診療ガイドライン 2019』 で明示された『食事療法の個別化』について,何らかのコンセンサス(合意)に達した事項を記述しているものと思われます.残念ながら,この記事の抄録でわかるのはここまでです.この記事は 学会員以外には発行から1年間は非公開ですので,これ以上の詳細な内容は不明だからです.紙媒体の学会誌が発行されていた頃は,国会図書館で閲覧するというテがあったのですが,電子版のみになった現在ではそれは不可能なので,全文の購読は来年4月まで待つ必要があります.

ただし,上記の赤枠で囲んだように,キーワードに『軽度糖質制限食』という,おそらく本邦初出であろう不思議な単語が使われているので,糖質制限食[★]についても 何らかの言及をしていると思われます.

[★]とはいえ,『糖質制限食』という単語が,日本糖尿病学会誌で普通に使われるようになっただけでも画期的なことかも. 2010年頃までは,この単語は 学会では禁句でしたから.

しかしながら,このコンセンサスステートメントで,今後の糖尿病食事療法の詳細が定まったと受け取るのは早計かもしれません. 『糖尿病診療ガイドライン 2019』 が発行されたのが昨年の9月,そしてこの記事自体は おそらく本年初頃に入稿されているはずですから,重要な合意に達したとみるにはあまりにも早すぎます. そんな合意ができているのなら,5月に発行された『糖尿病治療ガイド 2020-2021』に反映されていたはずです. したがって 単に『こういう議題について今後検討を進めていこう』ということだけ『合意に至った』だけかもしれません.

[7]に続く

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