病理

学会

第26回 日本病態栄養学会の感想[7] 症例報告から-2 中性脂肪が下がらない

【この記事は 第26回 日本病態栄養学会 年次学術集会に参加したしらねのぞるばの 手元メモを基にした感想です. 聞きまちがい/見まちがいによる不正確な点があるかもしれませんが,ご容赦願います】遺伝子変異「家族性コレステロール血症」という症状...
病理

ブリットル型糖尿病[3完] 原因はさまざま

ブリットル型(不安定型)糖尿病について,最新のレビューを探してみたところ,この文献がありました.Hirsch 2020この文献では,まず極端な高血糖/低血糖が発生する原因について,一般論として考えられるものを列挙・分類しています.Hirsc...
病理

ブリットル型糖尿病[2] 従来の説明では

現在の糖尿病学では現在の糖尿病学ではブリットル型(不安定型)糖尿病というものは存在しないという立場です.実際 日本糖尿病学会が発行している『糖尿病 治療ガイド』や,WHOの糖尿病ガイドラインには『ブリットル型(不安定型)糖尿病』という言葉は...
病理

ブリットル型糖尿病[1]

日本糖尿病学会の最新の『糖尿病治療ガイド2022-2023』には;(C) JDS糖尿病とはインスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝的疾患である糖尿病治療ガイド2022-2023 p.14と書いてあります.一言でいえば血糖値は...
病理

[別館記事更新] 糖尿病性神経障害:知覚異常(温感障害)

『糖尿病になっても,初期には痛くも痒くもない』とはよく言われることです.しかし,実際には 『呼吸に応じた心拍変動』が起こらなくなったり,『食後低血圧で気分が悪くなる』という現象は発生しています. ただ これらはなかなか気づきにくいですね.し...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[8完] 今後の予測

グルコキナーゼは監視塔グルコキナーゼとは,主に肝臓と膵臓に発現する酵素です.人体が高血糖状態の時,肝臓においては糖を素早く取り込んでどんどんグリコーゲンに変換していきます.そして膵臓ではβ細胞からのインスリン分泌を促進します.結果として血糖...
病理

[別館記事更新] あるとうれしい不整脈[2] ない場合は?

心電図上の脈拍間隔の変動(CV R-R)は 呼吸に対応した変動であり,まったく正常なものです.では,CV R-Rが著しく小さい,又は まったく見られない場合はどうなのでしょうか?糖尿病患者で CV R-Rが小さいことは,実は合併症(糖尿病性...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[7] 最新情報

メルクがグルコキナーゼ活性化薬 MK-0941 を開発していた頃,ほぼ同時期にロシュ(Roche) もやはりグルコキナーゼ活性化薬 RO4389620を開発していました.この薬は,開発コード名RO4389620だけでなく,ピラグリアチン(P...
病理

[別館記事更新] あるとうれしい不整脈

この記事の続きです.糖尿病による神経障害には,自覚症状のあるものだけでなく,まったく自覚症状のないものもあります.それがCV R-Rと呼ばれるある種の『不整脈』です. ただしこの場合は,糖尿病によって不整脈が発生するのではなくて,その逆です...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[6] バランスがとれた

グルコキナーゼが血糖コントロールの重要な『センサー』であることが見出されて以来,その活性を高めれば新規な糖尿病治療薬となり得る期待が高まりました. 実際 初期には 動物細胞実験などから,下記のような簡単な構造の低分子化合物がグルコキナーゼの...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[5] う, 休めない

前回記事では,グルコキナーゼ活性化薬 MK-0941がなぜうまくいかなかったのかについて,2つの『疑問』をとりあげましたが;(1)なぜ 本来のグルコキナーゼは『低血糖ではグルコースを取り込まず』,『高血糖になった時だけすばやくグルコースを取...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[4] 低血糖の時は寝ています

短期間の投与では すばらしい血糖値低下効果を示した グルコキナーゼ活性化薬 MK0941 は,投与期間が長引くにつれて次第に効果が薄れてしまいました.その原因は,あまりにもグルコキナーゼの活性を高めてしまったために,肝臓の処理能力を超えるグ...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[3]グルコース恒常性

前回記事の通り,投与開始直後には まるでインスリンかと思うほどの強力な血糖値低下を示したグルコキナーゼ活性化薬 MK-0941は,投与量が多いほど,また投与期間が長くなるほど,その効果は減少し,ついには 無投薬の状態とほとんど変わらないほど...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[2]

第2相試験前回記事 の通り,メルクが開発したグルコキナーゼ活性化薬 MK-0941の効果は目覚ましいものでした.その後も 数々の動物実験など,そして健常者を対象とした 第1相試験でもすばらしい血糖値低下効果を示しました.そこで,新薬承認に向...
病理

グルコキナーゼ活性化薬[1]

グルコキナーゼ活性化薬とはインスリン分泌能力は十分あるのに,血糖値が上がってもインスリンが分泌されない.血糖値が上がり もはやグルカゴンの出番はないはずなのに,依然としてグルカゴンがバンバン出る.この不可解な現象は,単に膵臓のインスリン分泌...
病理

グルコキナーゼ[6] 糖尿病ではどうなるのか

グルコキナーゼは,血糖値を一定に保つためのセンサーの役割を果たしているグルコキナーゼの活性が低下すると 血糖値が高くなっても感知できなくなるこれがここまでの話でした.では糖尿病とグルコキナーゼとの関係はどうなのでしょうか. グルコキナーゼの...
病理

グルコキナーゼ[5] 速度計の目盛りがズレたら

このシリーズ冒頭の記事で,車の速度計が壊れていたため,スピード違反に気づかなかった例をあげました.そして,前回記事で,グルコキナーゼは,血糖値が今どれくらい高いのか/低いのかを示す『速度計』の役割を果たしていることを述べました.そこで,もし...
病理

[別館記事更新] 糖尿病性神経根症

神経根症 (C) Johns Hopkins Medicine糖尿病性筋萎縮症 は,筋肉の萎縮・疼痛という症状がみられますが,これは筋肉自体に原因があるのではなく,脊椎から出た太い神経が 糖尿病によって 根本から障害された結果として発生した...
病理

グルコキナーゼ[4] ヘキソキナーゼのファミリーです

前回記事まではこうでした.血液で運ばれてきたグルコースは,細胞内で まずヘキソキナーゼという酵素によりリン酸化されて 扱いやすい形にする.ヘキソキナーゼには4種類あり,その一つがグルコキナーゼである.すべてのヘキソキナーゼ(グルコキナーゼ ...
病理

[別館記事更新] 糖尿病性筋萎縮症 【追補】

糖尿病専門医を目指す医師のための教科書である『糖尿病専門医研修ガイドブック』には,こう記されています.本症(=糖尿病性筋萎縮症)は,ミオパチー(=筋肉疾患)ではなく,腰仙部神経根・神経叢障害であり,DLRPNという呼称が用いられる.日本糖尿...