薬物療法

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11β-HSD1阻害薬[9] Cushing病ではどうなのか

クッシング病は,日本では年間100人程度が発症する指定難病の一つで,発症機構・原因はさまざま です.したがって手術等で治療可能なものから治療法不明のものまであります. ただほとんどの場合,コルチゾールの過剰分泌という症状を示すので,11β-...
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11β-HSD1阻害薬[8] 権兵衛が種まきゃ

ホルモンは人体内には微量で存在するものですが,それは生理作用が強力だからです. したがって,ホルモンの量が急増あるいは急減すると,時に致命的なことが起こります. これは インスリンを間違って過剰に注射した場合,低血糖で死に至る例を見れば明ら...
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11β-HSD1阻害薬[7] 途絶えた消息

Incyte社が開発した11β-HSD1阻害薬 INCB13739は 11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(11β–HydroxySteroid Dehydrogenase)のType1のみを阻害し,Type2は阻害しない『選択的 11β...
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11β-HSD1阻害薬[6] 糖尿病患者への投与結果

11β-HSD1阻害薬として,現在もっとも有力視されている Incyte社のINCB13739の第2相 臨床試験結果が報告されています. Rosenstock 2010 この試験では,それまでにメトホルミン単独(平均=1,500mg/日)治...
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11β-HSD1阻害薬[5] 新薬開発競争

ここまでの復習 コルチゾールとは副腎皮質から分泌されるホルモンの一つです.全身の糖・脂質・蛋白質の代謝を制御する重要な役割を担っています. また 人体に感染や外傷などで炎症が発生すると,総力をあげて炎症を鎮めます. さらに肉体的だけでなく,...
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11β-HSD1阻害薬[4] 双子の片方だけにプロポーズ

11β-HSD1阻害薬とは,コルチゾールというホルモンの分泌を抑制するために開発している薬剤です. コルチゾールは,人体に炎症が発生した時に,強力に炎症を鎮める作用があります.実際 リウマチ・喘息用の薬の主成分でもあります. ファイザー コ...
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11β-HSD1阻害薬[3] きっかけは漢方薬

カンゾウ(甘草) カンゾウ(甘草)は,漢方薬ではもっともポピュラーなもので,解熱・消炎・鎮痛・去痰などの作用があるそうです. カンゾウ (甘草)(C) 東京生薬協会 その薬用成分であるグリチルリチン(Glycyrrhizin)は,砂糖の15...
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11β-HSD1阻害薬[2] ストレスで登場

11β-HSD1とは 11β-HSD1阻害薬とは,11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素I(11β–HydroxySteroid Dehydrogenase type I;以下 11β-HSD1)に作用して,その作用を阻害する薬です.11β...
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11β-HSD1阻害薬[1] ホルモンはややこしい

11β-HSD1阻害薬とは,副腎皮質ホルモンであるコルチゾン/コルチゾールに作用する『11β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素』を阻害する薬です.つまり相手はホルモンです.もうこの段階で頭痛がします. ぞるばは 従来から『ホルモンはややこしい...
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新薬は更に登場するか

日本糖尿病学会が 2020年12月に発行した『糖尿病専門医研修ガイドブック』という分厚い書籍があります. (C)日本糖尿病学会 これから糖尿病専門医をめざす医師のための教科書です.専門医となるには,ここに書かれていることはマスターしてもらい...
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メニューは一つだけ

世の中には,メニューはなくて ただ一つの料理だけで人気を集めているお店・レストランがあります. 『あれこれ迷う必要はない,うちの店に来たからにはこれだけを食べればよい』という心意気は見上げたものです. 2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム と...
イメグリミン

第65回日本糖尿病学会の感想[8] ミトコンドリア糖尿病にイメグリミン

【この記事は 第65回日本糖尿病学会 年次学術集会に参加したしらねのぞるばの 手元メモを基にした感想です. 聞き間違い/見間違いによる不正確な点があるかもしれませんが,ご容赦願います】 前回記事では通常の2型糖尿病患者にイメグリミンを投与し...
イメグリミン

第65回日本糖尿病学会の感想[7] イメグリミンがデビューしました

【この記事は 第65回日本糖尿病学会 年次学術集会に参加したしらねのぞるばの 手元メモを基にした感想です. 聞き間違い/見間違いによる不正確な点があるかもしれませんが,ご容赦願います】 昨年9月に イメグリミン がいよいよ日本で発売されまし...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[7完]メトホルミンとイメグリミン-2

そっくりさん イメグリミンとメトホルミンとは,化学的には非常によく似た構造であると言われます. 実際 両者の化学構造式を重ねてみると; この通り,ほとんどピッタリ重なって,違いはごくわずか(緑の点線内)です.それ以外はまったく同じです. こ...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[6]メトホルミンとイメグリミン-1

イメグリミンの薬効(Efficacy) ここまでは,糖尿病新薬イメグリミンの動物実験で示された作用機序を見てきました.それでは イメグリミンの人間の糖尿病患者に対する薬効(Efficacy)は どれほどのものなのでしょうか?ここで Effi...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[5] ミトコンドリアの熱い息吹

【追記】 このシリーズ記事に highbloodglucose様のブログにて,強力な助っ人コラボ企画が掲載されております. 以下,青字部分は このコラボ企画でご指摘いただいた点について 追記したものです. Bozec博士らのグループは,イメ...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[4] ミトコンドリアの複合体

最初に宣言しておきます.今回の記事は難解です.また そうなった理由も明らかです.ミトコンドリアというものは複雑なのに,それを生兵法で理解しようとしているぞるばの能力不足が原因です.したがって以下の記載もどこまで正確なのかは保証の限りでありま...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[3] ミトコンドリア機能を改善

ラットを用いた動物実験ですが,イメグリミンには (1) 血糖値・HbA1cが低下(2) 耐糖能が改善(3) インスリン分泌能が増大(4) 肝臓での糖新生を抑制(5) 筋肉の糖取り込み量増加(6) 高血糖下でインスリン分泌増加 という効果を発...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[2]

イメグリミンとは 2年前のこの記事でもご紹介しましたように; イメグリミンとは ビグアナイド薬=メトホルミンの流れをくむ,強い還元性の糖尿病薬です. メトホルミン イメグリミン 基本作用 最初に注目を浴びたのは,この動物実験の結果です.20...
イメグリミン

最新の糖尿病薬:イメグリミン[1]

イメグリミン ついに登場 最初にお断わりしておきます.私は大日本住友製薬株式会社や,仏Poxel社からは一銭も受け取っておりません. (ただし そのお申し出があれば,ありがたく頂戴しますw) ブログ本館のアクセスログを見ていたら,最近は『イ...