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『2型糖尿病』は存在しない[11]異論1への反論

Dennis博士は『Ahlqvist分類よりも,発症年齢・BMI・HbA1cなど従来の治療指標にしたがって治療する方が,実際の効果があがる』という主張を論文発表しました.この指摘に対して Ahlqvist博士はCorrespondenceで...
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『2型糖尿病』は存在しない[10]異論1:臨床医から

Ahlqvist博士の提案する『2型糖尿病の新分類』に対して,コメントではなく論文で強力な異論を出した人がいます.異論1:従来の『2型糖尿病』で十把一絡げも問題だが,糖尿病患者の病態は 一人一人違うのだから,4つのパターンにひっくるめてしま...
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『2型糖尿病』は存在しない[9]反論しようにも

2018年にAhlqvist博士が発表した論文で,『従来の2型糖尿病と呼ばれている病気は,実は4種の相互に異なる別の病気が含まれている』という主張は,発表直後から論議を呼びました.それらは 発表論文に対するCorrespondense,つま...
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『2型糖尿病』は存在しない[8]異議あり

医学論文に限りませんが,私は『我が意を得たり』と思うような論文であっても,必ずそれに反対意見を述べている論文を探して,両者を読み比べることにしています.どちらが正しいのか判断できることもありますし,どちらも正しく思えてわからなくなることもあ...
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『2型糖尿病』は存在しない[7]普遍性はあるのだろうか

Ahlqvist博士の提案した2型糖尿病の新分類は斬新なものでしたが,かといって 突飛なものでもありませんでした.世界の多くの糖尿病医学者であれば,『やはりそうか』と納得のいくものでした.漏れのないデータベース博士がこの説を提案するのに用い...
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『2型糖尿病』は存在しない[6]高品質のデータ

高品質のデータ日本は先進国の中でも医療水準は高いと言われます. たしかにそうでしょう. しかも国民皆保険制度のおかげで,非常に高度・高価な治療法であっても,保険が適用されます.こんな国は世界で日本だけです(*).(*)英国では,誰でも大病院...
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『2型糖尿病』は存在しない[5]データに語らせよ

コロンブスの卵(C) マキマキカンパニー さん前回記事では,Ahlqvist博士が提唱した糖尿病の新分類は,HbA1cなどの指標を『数値に基づいて分類した』のではなく,先入観を排除して,ただ『似た者同士』のグループに分けただけなのに,それぞ...
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『2型糖尿病』は存在しない[4]

誤解されていますAhlqvist博士が,『2型糖尿病という病気は存在せず,全く異なる複数の病気に分類すべきだ』としたこの論文については,最近ちらほらと引用されるようになりました.The Lancet Vol.6(5) p361-369, 2...
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『2型糖尿病』は存在しない[3]

熱がありますねある朝 子供が突然の高熱!(C) くろすまる さんあわてて病院に連れてきたら,医師は体温計をチラと見て;デング熱ですねと言ったら,これはヤブ医者だと思うでしょう.デング熱なのか,インフルエンザなのか,はたまた川崎病なのか関節炎...
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『2型糖尿病』は存在しない[2]

日本糖尿病学会が発行している『糖尿病診療ガイドライン 2019』には,2型糖尿病がなぜ発症するのか,その『成因』が記載されていないことを紹介しました.(C)日本糖尿病学会2型糖尿病以外の 他の糖尿病,つまり1型糖尿病や遺伝性糖尿病(MODY...
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『2型糖尿病』は存在しない[1]

肥満だけが原因か糖尿病の解説書やネット情報では,『1型糖尿病は 生活習慣とは無関係に発症するが,2型糖尿病は 過食や運動不足で肥満になり,インスリン抵抗性が強くなって発症する』などと書かれているものがあります.たしかに欧米の糖尿病患者は,ほ...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える16完

納先生のHPに掲載されている26人の5時間 糖負荷試験結果に基づいて,インスリン分泌を考えてきました.私がこのデータに注目した最大の理由は,糖負荷試験では 通常の2時間までしか測定しないが,30分おきに5時間も測定していること.通常の糖負荷...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える15

前回記事では,血糖値が上がると膵臓β細胞に取り込まれるブドウ糖(グルコース)も増えるので,それを燃料としているβ細胞の中のミトコンドリアがエンジンフル回転となり,結果としてインスリン分泌を高める仕組みになっていると解説されていることを紹介し...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える14

第63回日本糖尿病学会でのオンライン参加により 中断していましたが,シリーズ記事の再開です.ここまでの ~までは,主として 納先生のHPに掲載されている健常人26人のボランティアの方々の5時間糖負荷試験(OGTT)の結果を見ると;教科書には...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える13

糖の流れ川の流れのように/美空ひばり(C) 日本コロムビア教科書などには;食物中の炭水化物,脂質,たんぱく質は,胃液,膵液などによって消化され,腸管で糖(ほとんどがブドウ糖),脂肪酸,およびアミノ酸などに分解されて吸収されます.食事により血...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える[12までの補足] オーバーシュートについて

納先生のHPに掲載されている糖負荷試験26人のデータは,その血糖値とインスリン量とを正規化して,横軸=血糖値,縦軸=インスリン量とすると,おおむね3種類のLoopパターンになることを,この記事で書きました.正規化する:個々のデータは血糖値や...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える12

食後に血糖値が上昇し,そして 時間と共に下降する.このプロセスは,患者向けのパンフレットには;炭水化物,脂質,たんぱく質は,胃液,膵液などによって消化され,腸管で糖(ほとんどがブドウ糖),脂肪酸,およびアミノ酸などに分解されて吸収されます....
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える11

前回の記事について,おそらく医師とお見受けする方から,健常者のについてLoop Patternが何種類かに分類されるという見解は,過去に報告例があるのかという,ご質問をいただきました. 先生,ご質問 ありがとうございます.ご質問にはメールで...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える10

ここまでは,納先生のHPに掲載されている26人の健常人の5時間糖負荷試験(OGTT)を,新たな角度から見直してきました.つまり前回記事までは,納先生の測定データという『事実』だけを取り上げてきました.妄想全開しかし,あらかじめお断りしておき...
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インスリン分泌の『なぜ?』を考える9

教科書には こう書いてありますが食後に血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇すると、それに反応して膵臓からインスリンが分泌されます厚生労働省「e-ヘルスネット」インスリンたしかに膵臓の本質的な機能としてはそうなのですが,そうであれば たとえば...