『従来の2型糖尿病は,実は4種類の異なる糖尿病を混同していたものであり,それぞれ 病態も合併症リスクも異なる』という,スウェーデンのAhlqvist博士の新説は,日本ではほとんど注目されていませんが,欧米では この説にそった国際的な共同研究が進行しています.
最近の博士の論文によれば,これら4種類の『2型糖尿病』の差が生ずる原因は,持って生まれた遺伝的素因らしいとのことです.
他の人種ではどうなのか
遺伝的素因であるとすれば,それはスウエーデン人以外でも同じような結果が見られるはずです.
われわれ日本人は,スウェーデン人といえば 北欧バイキングの子孫で すべて 大柄な体格,金髪碧眼をイメージしますが,
実は 1990年代から積極的に移民(特にイラク内戦以降)を受け入れてきたスウェーデンは,今や国民の5人に1人は『本人または親が外国起源』という多民族国家なのです.
そこでAhlqvist博士のグループは,中東諸国からスウェーデンに移民した人を調べてみました.
先月発表されたばかりの論文です.
生粋のスウエーデン人と中東国家出身者で,糖尿病のタイプに違いがあるかどうかCluster分析したところ,こうなりました.
SAID:重度自己免疫性糖尿病
SIDD:重度インスリン分泌不全糖尿病
SIRD:重度インスリン抵抗性糖尿病
MOD:軽度肥満性糖尿病
MARD:軽度加齢性糖尿病
生粋のスウェーデン人に比べて,イラク生まれの移民の人には SIRDが少なく,SIDD,MODが多いことが分かりました.
ただし,著者はイラク生まれの人にMARDが少ないことからみて,平均寿命の短さが全体の分布に影響している可能性もあると述べています.
[17]に続く
,
コメント