しらねのぞるば

食事療法

食事療法の迷走[16]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(3)

前回は,マクガバン・レポートの第1版・第2版 報告書で,日本という単語("Japan" 又は "Japanese")が登場する箇所を検索してみました.今回は,その第2版報告書に参考として添付された『補足文書一覧』(Supplemental ...
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食事療法の迷走[15]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(2)

マクガバン・レポートは『日本の,それも江戸時代・元禄期の日本食が理想的な食事だと結論した.』というのはデマであると書いた,この記事について; マクガバン・レポートでは,日本の食事が心疾患の低い原因だと評価しています というご指摘をいただいた...
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食事療法の迷走[14]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(1)

前回までの記事で, 『マクガバン・レポートが日本の,特に江戸時代・元禄期の日本食を理想的と評価した』というのはデマである と書きましたが,これについて マクガバン・レポートでは,日本の食事が心疾患の低い原因だと評価しています というご指摘が...
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食事療法の迷走[13]マクガバン・レポートの実際2

マクガバン議員が,当時の米国人の平均的な食事から見れば,『大幅に脂質を減らして,糖質の摂取を増やす』よう提案した,その動機は何だったのでしょうか?それは当時 議員(及びそのスタッフ)の手元に集まった資料を見れば明らかです.おそらく議員はこの...
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食事療法の迷走[12]マクガバン・レポートの実際1

マクガバン・レポートの風 前記事で,第5版の食品交換表が それまでの路線から正反対に豹変したのは,米国からの風であったと書きました.その起点が,1977年に米国 上院 特別調査委員会から出された"Dietary Goals for the ...
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食事療法の迷走[11]食品交換表 第5版に至る背景

第5版を生んだ背景 食品交換表は,初版から第4版までは,「1,200kcalまでは基礎食として炭水化物/脂質/蛋白質の摂取量を指定. それ以上は付加食で患者の自由」であったのに.第5版からは箸の上げ下ろし,いや, 「カロリー・栄養素構成のす...
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食事療法の迷走[10]食品交換表 第5版で基礎食はどうなった?

基礎食はどうなった? 食品交換表の第1版から第4版までは,糖尿病患者が主治医から1日の摂取カロリーを指示されたら(例えば 1,600kcal/日というように),1,200kcalまでは 基本的な必須栄養は必ず摂れるように「基礎食」として摂り...
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食事療法の迷走[9]食品交換表 第5版で大きく転換

食品交換表 第5版 1993年には,食品交換表 第5版が発行されました. 食品交換表 第5版(1993)(C) 日本糖尿病学会 この第5版は,それまでの第1~第4版とは内容がガラリと変わりました. 名称を変更 まず 名称が変更されました.そ...
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食事療法の迷走[8]食品交換表 第2版から第4版まで

食品交換表 第2版 1965年に食品交換表 第1版が発行された4年後の1969年に 改訂第2版が発行されました.これ以降 定期的ではないものの,数年おきに改訂されて現在の第7版に至っています. 食品交換表 第2版 (1969)(C) 日本糖...
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食事療法の迷走[7]1965年 基礎食と付加食

米国の Food Exchange System を参考にして,1965年に日本でも『食品交換表』第1版が作成されました.それ以降版を重ね,現在では第7版になっています.これは 文科省が5年ごとに改訂する『日本食品標準成分表』で,同じ食品で...
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食事療法の迷走[6]1965年 食品交換表の登場2

敗戦直後の絶望的な食糧不足と栄養失調からは抜け出したものの,1965年当時の食事の内容は; 米食偏重で,近代化・高度化された欧米先進諸国の食糧消費水準からみれば,食生活の近代化,高度化とはほど遠い摂取水準にある1965年 厚生省 国民栄養調...
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食事療法の迷走[5]1965年 食品交換表の登場1

1965年という時代は 1965年は,その前年に東京オリンピックが開催され,高度成長の開始とあいまって,目に見えて生活がよくなってきたという実感が感じられる年でした.おそらく日本人の『夢と希望』が最大だった年かもしれません. それを裏付ける...
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食事療法の迷走[4]「昔は糖尿病が少なかった」は本当か2

専門家の本音は 前回記事で, 昔は糖尿病が少なかったというが,昔と今では 糖尿病判定基準がまるで違うのだから,時代を隔てた数字を比較しても意味はない と書きました. 素人は,『これは医学データだ』と言われればお手上げですから,この手のトリッ...
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食事療法の迷走[3]「昔は糖尿病が少なかった」は本当か1

「昔は糖尿病が少なかった」は本当か 現在は 昔に比べ,特に昭和30年頃に比べると糖尿病が30倍に増えている などとはよく言われます. こういうグラフが病院や薬局の待合室の壁に貼られていたりします. 誰でもこれを見れば,「ものすごい勢いで糖尿...
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食事療法の迷走[2]~1955年は健康的だったか

1955年 食糧難は脱したが 戦後の混乱期はようやく収まったものの,まだ高度成長以前である1955年(昭和30年)の日本全体の栄養状況の調査結果です. 厚労省 国民栄養の現状_1955 栄養素別のカロリー比はこの通り. まだまだ炭水化物のカ...
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食事療法の迷走[1]

日本の糖尿病患者の食事療法はどのように始まり,どこでどうして脱輪して現在に至ったのかという話です. (C) とりあし さん 1947年の日本 昭和22年です.スタートはこのような状況でした. 日本は敗戦により,都市部は焼け野原,一方農村部で...
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食事の脂質と食後血糖値[7 完]考察4

マッシュポテトのような高糖質の食品を食べる前に,既に腸に脂質が存在していると, マッシュポテトは胃の中で足留めをくらって,排出されるのが大幅に遅れるしたがって血糖値やインスリンが上昇する時刻も遅れるただし 血糖値やインスリンの量が下がるわけ...
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食事の脂質と食後血糖値[6]考察3

コンソメスープとマッシュポテトだけの食事,(日本風に言えば マルコメの味噌汁とサトウのご飯だけ) ほぼ100%炭水化物という食事に 脂質を追加すると,血糖値・インスリンがどう変化するのかを調べた実験結果を考察しています. 前回記事では,スー...
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食事の脂質と食後血糖値[5]考察2

Cunnnigham論文の実験結果の考察です. 論文の原文に記載のグラフではわかりにくいので,数値を拾って グラフをこのように作り直しました. スマホの方には小さすぎるかもしれませんが, 中央が スープ・マッシュポテトのどちらにもマーガリン...
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食事の脂質と食後血糖値[4]考察1

ここまでで,英国 Karen Cunningham教授(Cambridge大学;当時)の論文内容を紹介してきました.その方法は,前記事の通り,コンソメスープとマッシュポテトだけという,これ以上単純化しようのない食事を20代の健康な男性に食べ...