この記事で,
痩せすぎで,どうみても肥満からは程遠い 境界型の人が 現に目の前にいても,医師は『メタボを解消しろ』としか言えないのです.しかし,痩せているのですから,いくら何でも 体重を減らせ/食事を減らせとはさすがに言えないので
と書きました.
目の前にいる糖尿病患者が明らかに肥満ではない場合,それどころか痩せすぎとみえる場合には,いくら何でも『過食だ』『肥満だ』などと言う非常識な医師はいないだろうと思ったからです.
ところが人間ドックで 正にこの言葉を投げつけられた人の記事を読んで驚きました. 本当に そんな医師がいたのです.
いったいこんな医者が どうやって出来上がったのでしょうか.
それはこれだと思います.
1999年に日本糖尿病学会は,糖尿病専門医ではない 一般内科医向けの『糖尿病治療ガイド』を始めて発行しました.
そこにはこう書いてありました.
この文章を逆に読めば,『過食,肥満,運動不足』がなければ2型糖尿病は発症しないと書いてあるのです.
そして 最新の『糖尿病治療ガイド 2022-2023』にはこう書いてあります.
1999年版と まったく同じ記述です.ご丁寧に最新版では 高脂肪食まで付け加えています.
以上から明らかな通り,
『ダラダラと過食をくり返し,運動もしない,だから2型糖尿病になるのだ』
日本糖尿病学会は これを24年間 全国の内科医に説き続けてきたのです. ですから,糖尿病の知識に乏しい上記のような医師は ,ただ学会のガイドラインを そのまま信じているだけなのでしょう.
この『糖尿病治療ガイド』は来年5月に改訂される予定です. その改訂版においても,これまでの記述を変えるつもりはないのでしょうか.
コメント
コメント失礼いたします。
先日、人間ドックの最終評価の際に
ケーキは毎日食べてませんか?
炭水化物は食べすぎていませんか?
運動はしていますか?
と一方的に投げつけられました。
私は、a1c(6.0)以外の数値は整っておりまして、TGは30程度、LH比 1.5以下でした。
節制は勿論 運動にも取り組み、ギリギリのところで維持しておりました。
BMI17%以下ですから、これ以上 食べるな、と言われても と悲しくて辛い思いだけが残りました。
満ち溢れた糖尿病のお方と、加齢による非肥満の糖尿病の食事療法は 明らかに違うと思うのですが、
食べ過ぎ、グーたらと言う固定願念を押し付けられ違和感が残りました。
悲しくて悔しくて…
この世の中から、この固定願念が消えて無くなればいいのにと。
長々と申し訳ありません。
体質と向き合いながら、しっかりと対策を取らなければいけません。
わたしの医師は、自分自身なのかな、と…
女性医師は 身体の大きなお方で、わたしの2倍のウェイトかとお見受けしました。
ダイエットが必要なのでは、とも感じました。
本館、別館、いつもお邪魔しており、学んでおります。
ありがとうございます。
>人間ドックの最終評価の際
人間ドックの問診医も,常勤医ならともかく,1日 いくらで雇われた非常勤医に適切なアドバイスができるかな? と思っています.
ひどいケースでは 研修医がアルバイトしていることすらありますからね.
>わたしの医師は、自分自身
あの 樽おばさんよりは,今や 蘭さまの方が糖尿病の知識は豊富だと思いますよ.
そうですね。ぞるばさんにはメールでお話ししたことがありますが、健康診断で言われましたね。HbA1c6.0、BMI19、中性脂肪も枠内ですが、「過食と運動不足、これだけです!」と言い切られました。「少食ですが…」と答えましたが、「いや、食べてるんですよ!」みたいな否定の返しでした。その医師をお見受けする感じ、私より食べていると思いましたが…
しかし主治医は30代か40歳くらいの若い専門医で、「甘いものが多いとかはないか?ないのなら、あなたに『食事を減らせ』は栄養枯渇状態になるから良くない。経過を見ながら、悪化するようなら『少し薬を飲みながら食べる』でいきましょう。運動、筋トレはお勧めです」と。気が楽です。
>過食と運動不足、これだけです!
その医師は,自分の治療実績や 何らかの根拠データをもってそう言っているわけではなく,ただ 治療ガイドにそう書かれていたからだけなのでしょう. むしろ 治療経験が少ないからこそ 断定できるのだともいえます.実際に多数の糖尿病を診察し,治療してみれば,一筋縄ではいかないことはわかるはずなのですから.
>主治医は30代か40歳くらいの若い専門医
これが専門医/非専門医の違いですね.
ほんと、断言していました。ドヤ顔でした。「昔習ったまんまなんだな、この笑顔すごいなぁ」と感じましたね。一回は返したものの、無駄だと感じ諦めました。
若い専門医は一筋縄ではいかない事が分かっているんだと思いますね。健康診断で引っかかったという患者さんを見ると、分かりますよね。高脂血症や高血圧も生活習慣病と言われますが、罹患している人を見ても、生活習慣が原因と思える人ばかりではないですね。
>昔習ったまんま
なにしろ今でも『糖尿病にはSU剤. それが効かなくなったらインスリン』と思っている医師だっているのですからね.40年以上も知識をUpdateしないとは,それはそれで見上げたものですが.
「食べすぎだ!」と決めつける医師に、病院食での血糖変動を見せつけてやりたいです。
わたしは本来なら1400kcal設定であるところを、1200kcal、白米120gという低エネルギー制限食の病院食を与えられて、食後血糖値が300 mg/dL近くまで上がりました。それを見て驚いた医師は、速効型インスリンを使うよう指示を出しました。
入院中なのだから病院食しか食べておらず、「食の欧米化」は関係ありませんし、当然ながら間食なんてしていません。
食事量が少なくてひもじい思いをしているのに、これでも「食べすぎているから血糖値が上がるのだ」と言うのであれば、どこまで食事量を減らせばいいのでしょうね。
毎食後、血糖値が300 mg/dL近くまで上がれば、HbA1cは7%未満にはなかなかなりませんよ…
「食べすぎと運動不足だ」ということは、病院食で血糖値が上がるのは「運動不足」だからなので、つまりは「運動して下げろ」ということでしょうか。
たしかに、入院中は運動がほとんどできなかったですからね。毎日ハードな筋トレと10kmほどランニングすればいいのかもしれないですね。
>病院食での血糖変動
私が 愚かにも食品交換表を忠実に実践していた時も,食後血糖値は200をはるかに越えることがほとんどでした.そして 症状はどんどん悪化していきました(当たり前). 当時の食事記録を見ると,ものすごい低脂質食だったことがわかります.ところが,糖質制限に切り替えて,相対的に高脂質・高蛋白になったら,その日から血糖値はピタリと安定しました.
ところが学会の治療ガイドには『糖尿病患者には高脂質食をやめさせろ』と書いてあるのです.
学会の一般口演で,『糖尿病患者が高脂質の夕食を摂ったので,翌朝にはインスリン抵抗性が発生していた』などという報告もありました.人間はたった1回の高脂質食でインスリン抵抗性になれるのだそうです.私はなぜかそうならなかったですが.