『2型糖尿病』は存在しない[3]

熱がありますね

ある朝 子供が突然の高熱!

あわてて病院に連れてきたら,医師は体温計をチラと見て;

デング熱ですね

と言ったら,これはヤブ医者だと思うでしょう.
デング熱なのか,インフルエンザなのか,はたまた川崎病なのか関節炎なのか,ただ発熱したというだけでは どれとも断定できないはずです.
病原菌を調べるなり,レントゲンを見るなり,そうでなくても他に症状があるかどうかなど,原因を特定してから病名を診断するのが当然でしょう.
『熱があるからデング熱』と言ったら,すべての発熱する病気はデング熱になってしまいます

ところが,糖尿病の場合はどうでしょうか

血糖値が高いですね.
1型の抗体は出ていないし,あなたは男性だから妊娠もしていませんね. じゃあ あなたは2型糖尿病です.

そうです.2型糖尿病には『これこれの検査結果が出たら2型糖尿病』という判定基準はないのです. 血糖値が高ければ ただそれだけで,分類済みの各種の糖尿病の【どれにも当てはまらないから2型糖尿病】なのです.

その他大勢

しかしその『どれにも当てはまらない』2型糖尿病が最大派閥なのです.

日本のデータを見ると

この通りです.

しかし,Ahlqvist説によれば,従来の『2型糖尿病』というものは存在せず,こうではないかということです.

『糖尿病診療ガイドライン 2019』には,2型糖尿病の『症状』としては

インスリン分泌低下を主体とするものと,インスリン抵抗性が主体で,それにインスリンの相対的不足を伴うものなどがある

糖尿病診療ガイドライン 2019 p.11

と書いてあるのですから, Ahlqvist博士の提案する分類 は日本では難しい[★]としても,

[★]『日本では難しい』=スウェーデンでは,すべての医療データは国民背番号と共に電子データ化されています. したがってスウェーデン国内の糖尿病患者のデータをまとめて一元的に分析できるのです.

  • インスリン分泌不全 2型糖尿病
  • インスリン抵抗性2型糖尿病

少なくともこの2つに分けて考えるくらいは妥当ではないでしょうか.

糖尿病の方ならおわかりでしょうが,この2つは外観も症状も明らかに違います.
しかも Ahlqvist博士の分類に従えば,肥満型か痩せ型かで 将来発症のおそれのある合併症の傾向が異なるというのですから,なおさらこれらを別の病気として扱って,それぞれに特化した検査と治療を行うべきではないでしょうか. その方が,患者の重症化予防のためでもあり,総医療費の効率的な使い方になるはずです.

[4]に続く

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