病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える12

食後に血糖値が上昇し,そして 時間と共に下降する.このプロセスは,患者向けのパンフレットには;炭水化物,脂質,たんぱく質は,胃液,膵液などによって消化され,腸管で糖(ほとんどがブドウ糖),脂肪酸,およびアミノ酸などに分解されて吸収されます....
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える11

前回の記事について,おそらく医師とお見受けする方から,健常者のについてLoop Patternが何種類かに分類されるという見解は,過去に報告例があるのかという,ご質問をいただきました. 先生,ご質問 ありがとうございます.ご質問にはメールで...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える10

ここまでは,納先生のHPに掲載されている26人の健常人の5時間糖負荷試験(OGTT)を,新たな角度から見直してきました.つまり前回記事までは,納先生の測定データという『事実』だけを取り上げてきました.妄想全開しかし,あらかじめお断りしておき...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える9

教科書には こう書いてありますが食後に血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上昇すると、それに反応して膵臓からインスリンが分泌されます厚生労働省「e-ヘルスネット」インスリンたしかに膵臓の本質的な機能としてはそうなのですが,そうであれば たとえば...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える8

理想的に元気な膵β機能を持つと思われる 20歳代男性の 糖負荷試験における インスリン分泌-血糖値 グラフはほぼ一直線でした.みごとな円形では,同じく納先生のHPに掲載されている No.8の方はどうでしょうか?No.23の人とはまるで対照的...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える7

理想の膵臓β細胞は血糖値が上昇するとインスリン分泌を増やすが,無限にインスリンを分泌できるわけではなく,どこかで上限に達する 血糖値が低いときは,インスリン分泌を最小限に抑える しかし,その間の範囲では,血糖値に正確に比例したインスリンを分...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える6

正規化してみましょう前回の記事で,納先生のHP に掲載されている ボランティアの方々の糖負荷試験における 血糖値とインスリンの動きは,文字通り十人十色,二つと同じものはないということがよくわかりました.ただし 血糖値の高低/インスリン分泌の...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える5

インスリン総量は同じなのに前回記事では,納先生のホームページから,No,13とNo,14の二人の男性の5時間糖負荷試験のデータを用いて,横軸=血糖値,縦軸=インスリンでプロットしたところ,No.14の理想的な結果を示す30代の男性は ほぼ直...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える4

膵臓β細胞が理想的に機能していれば,常に血糖値に応じた量のインスリンが分泌されるはずであり,その場合 血糖値とインスリン分泌量は直線関係になるはずです.実際 納先生のホームページに収載されている健康人の5時間糖負荷試験のデータで,No.14...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える3

前回まで膵臓β細胞が,血糖値の上昇に対応してインスリンを分泌している状態,また 血糖値の低下に対応してインスリン分泌を止めている状態,この2つの状態をスムーズに切り替えるのを妨げる何等かの『敷居』=活性化エネルギーが存在するのではないか磁気...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える2

磁気記録メディア世の中 すっかりデジタル化してしまいました.かつては 録音といえばカセットテープ,(C) さつそら さん録画と言えばビデオテープが必須でしたが,(C) Aoi-Midori さん今や 音楽は スマホの半導体メモリ,録画はビデ...
病理

インスリン分泌の『なぜ?』を考える1

あらかじめお断りしておきます.連載記事というよりは,手探りで考えたことを書き連ねていくので,なんらかの結論めいたものが出せるとは思えません.別館ブログに,インスリンが『出ない 止まらない』という記事を書きました.血糖値が上がってもすぐにはイ...
食事療法

食事療法の迷走[58完] 【完結にあたり】

患者は日の出を待っている(C) RCA日本が敗戦直後で,その日の食べ物すら事欠いていた時代から,やっと現在までたどり着きました.本来であれば,最終回は今年の第63回日本糖尿病学会につなげる予定だったのですが,10月のWEB開催のプログラムを...
食事療法

食事療法の迷走[57] 新ガイドライン以降の動き [注目の座談会]

昨年9月の『糖尿病診療ガイドライン 2019』の発行以来,もっとも大きな出来事は,『糖尿病治療ガイド 2020-2021』において,つまり日本糖尿病学会が公式に発行する文書において はじめて『炭水化物 40%』という言葉が出たこと そして,...
食事療法

食事療法の迷走[56] 新ガイドライン以降の動き [患者に対しては]

『糖尿病治療ガイド 2020-2021』とほぼ同じころに 日本糖尿病学会は『糖尿病治療の手びき 2020 改訂第58版』(以下 『手びき2020』)という冊子も発行しています.『糖尿病治療の手びき 2020』患者向けです『手びき2020』は...
食事療法

食事療法の迷走[55] 新ガイドライン以降の動き [糖尿病治療ガイド-3]

一般 医師向けの『糖尿病治療ガイド』の2014年版(=【G-2014】)と,最新の2020年版(=【G-2020】)を比較しています.考察の最後は,実に長年にわたって学会が金科玉条としてきた『炭水化物比率=60%』はどうなったのかという比較...
食事療法

食事療法の迷走[54] 新ガイドライン以降の動き [糖尿病治療ガイド-2]

日本糖尿病学会が5月に発行した『糖尿病治療ガイド 2020-2021』(右:以下【G-2020】)と,2014年に発行した『糖尿病治療ガイド 2014-2015』(左:以下【G-2014】)とで,食事療法の記載がどう変わったのかを比較してい...
食事療法

食事療法の迷走[53] 新ガイドライン以降の動き [糖尿病治療ガイド-1]

日本糖尿病学会は,昨年9月末に『糖尿病診療ガイドライン2019』(=【GL-2019】)を発行しました. 【GL-2019】では,従来の食品交換表で設定しているカロリーは明らかに過少見積だと実測データで証明されたので訂正されました.しかし,...
食事療法

食事療法の迷走[52] 新ガイドライン2019の答え合わせ

日本糖尿病学会は,1993年の『食品交換表』第5版 発行以来,すべての患者はBMI=22を標準体重とする. すなわち身長が同じなら標準体重は一律に同じとするこの標準体重に日常活動度を乗じてカロリーを設定した,カロリー制限食を一律に適用するカ...
食事療法

食事療法の迷走[51] ガイドラインは改訂するものの

食品交換表による食事療法の根幹である,「炭水化物 50-60%」そして「糖尿病患者の食事カロリーは低くてもよい」は,間違いであったことが明らかになりました.そしてもう一つ食品交換表の現時点の最新版である第7版では,糖尿病患者の食事療法におい...