[第55回糖尿病学の進歩]感想記事(6) 薬物療法関係

糖尿病治療薬に関する講演は多数ありました.

全部で24本です(私は インスリン関係の講演は聞かなかったので上記リストからは割愛しております).

ご覧の通り,SGLT2阻害薬に関する講演が圧倒的多数でした.

これはSGLT2阻害薬が最新の薬だからという事情もありますが,それよりもSGLT2阻害薬の『心臓・腎臓に対する保護効果』が複数の研究で確認されたことが大きな理由でしょう.実際 SGLT2阻害薬を糖尿病薬としてではなく,心臓薬として使おうという研究も行われているほどです. またSGLT2阻害薬が日本で使われ始めた時に副作用が多発したため,当初はほとんどの医師が怖がって使おうとしなかったのですが,最近は 適切に禁忌・慎重例を避ければ,それほど副作用のおそれはないと浸透してきたこともあります.

次いで目立ったのが DPP-4阻害剤の副作用である『水疱性類天疱瘡』(すいほうせいるいてんぽうそう)の発生機序・防止に関する講演でした.
今や 日本の糖尿病患者が最初に処方される薬の7割はDPP-4阻害剤です. また糖尿病薬全体の年間処方実績も,おおまかに言って,5割がDPP-4阻害剤です.これだけ多量に使用されるようになって,初めて顕在化してきたのがこの副作用です. ひどい場合には全身に水膨れが発症します. しかも投与直後に出ることは稀で,服用開始から数ヶ月~20ヶ月後に発症するのです.この副作用の発生原因は表皮層と真皮層の境界で自己免疫性炎症が発生するためと解説されておりました.

[感想-6]

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