インスリン分泌を改善するには_探索メモ002

コメント欄だけでなく,問い合わせフォーム経由でも,自分の糖負荷試験はこうだったというデータをお寄せいただいております. いただいたデータは匿名化して,とりあえず次々とデータベースに入力しております.(Excelよりは データベース= Accessに入れておくと,様々な分析ができます)

前回の補足です

日米の糖尿病患者のBMI分布を比較した図[再掲]について,

たしかに BMI25未満は米国では少ないが,BMIが25から30の人は 日米どちらも多い.この人達は,BMIが同じなのだから,インスリン抵抗性・分泌性について 同じパターンではないのか.

という感想をいただきました.

私もこの図を作った時に,同じことを思ったのですが,現時点での単なる印象としては『このBMI範囲でも,やはり日米の糖尿病パターンは違うのではないか』と感じています. もっともこれは今後撤回するかもしれないので,現時点での感想にすぎませんが.

BMI25-30の人の体格

その理由は BMI=25~30の日本人と米国人との体格の違いです.BMI=30というと,日本人では相当ぽっちゃりした人がほとんどでしょう.ところが米国人では,このBMIでも実にガッチリした体格の人がいます. たしかに太いことは太いのですが,見た目はいかにも筋肉質です.

特に胸板が厚く,ウエストはかなり引き締まっています. 実際それは外見だけではなくて,重い物でも片手でヒョイと持ち上げて運んでいる あの筋力はすごいです.一方 日本人の場合は,筋トレで鍛えた人でも 米国人が隣に並ぶと,どことなく細く華奢に見えてしまいます.

あの筋肉量でありながら,インスリン抵抗性が優勢になるというのは,やはり日本人とは糖尿病のメカニズムが違うのではないのかなというわけです.

また米国で日系の人に会うと,特に3世以降の日系人は,もう完全に米国人の体格に近いですが,The Hawaii-Los Angeles-Hiroshima studyなどの報告を見ると,米国人と同じ食生活・生活習慣であっても,やはりDNAの差異は残るようですから,人種の違いが糖尿病のメカニズムには大きく影響している可能性大です.

米国CDCは

たしかにアジア系人種はBMI25未満であっても糖尿病のリスクがある とは警告しているのですが,それは同BMIの白人に比べて,筋肉量が少なく内蔵脂肪が多い場合があるからだという理由です. しかし,今続々と寄せられている 痩せ型の方の糖負荷試験データを見ると,空腹時インスリン値が非常に低い人が多いので,

内臓脂肪過多 → インスリン抵抗性大 → 糖尿病

という図式はあてはまらないのではないかと感じています.インスリン抵抗性が発生しているのならば,空腹時のインスリン値は高くなるはずですから.

ますます謎は深まるばかりです.

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