2013年12月にユネスコが日本の和食を世界無形文化遺産に登録したのはこの記事に書いた通りです.日本の伝統文化が登録されたことは,日本人としてたしかに喜ばしいことです.
しかしながら,
日本の和食が世界無形文化遺産に登録された
さらに,
和食の栄養バランスが国連に高く評価された
だから 食品交換表の炭水化物50~60%は理想的なのだ
と言わんばかりの賞賛には,『異議あり!』が出ました. しかも思いがけない方面からです.
異議あり!
それは 食文化の研究者からでした.
熊倉先生は,『和食』の世界無形文化遺産登録申請にあたって,農水省に設置された「日本食文化の世界無形文化遺産登録に向けた検討会」の会長を務められた方です.つまり登録申請の最初から最後まで携わられた当事者です.
青で囲んだ見出しに注目してください.熊倉先生は,この記事で「ユネスコに登録されたのは【和食をめぐる文化】」であって,「和食」そのものが登録されたのではないことを強調しています.
登録申請検討会に参加していたのは
上記の「日本食文化の世界無形文化遺産登録に向けた検討会」の委員名簿はこちらですが,熊倉先生と小泉武夫 東京農大名誉教授が食文化の専門家として,他の委員は 食品業界,料理・調理団体の代表です. つまり
日本糖尿病学会の関係者は誰も参加していません
なぜなら,上記の記事で熊倉先生が強調しているように.ユネスコの無形文化遺産とは,あくまでも『保存されるべきだが,放置しておいては失われてしまう伝統文化』を登録するものだからです.このことは ユネスコのホームページ冒頭に詳細に説明されています.
では,『和食の登録』と『和食文化の登録』は,何がどう違うのでしょうか?
[45]に続く
コメント
62歳の心臓外科医です。不整脈でたまたま同業者に診療を受けたとき「心臓はいいんですけどDMで死にますよ!」などと言われ、「カッ!」となって糖質制限したら2か月でHbA1cが9.0から6,7にあっさりと下がりました。それまで日常なんだかんだと「みたらし」「だいふく」「もなか」「お〇べ」「リーフパイ」「かすてら」などちょこまか食べていたのを、きっぱり止めたことが大きかったと、当たり前のことなのですが、思います。ちょっとした方向転換でも「手つかず」の人は「伸びしろ」が大きい、と思います。ところで世界遺産ですが、登録されたときご尽力された方の講演も拝聴したのですが、食材としての分析以前の問題で、そもそも自分たちの食文化をジンガイ達に称賛してもらう・・なんていう自己中心的な発想が理解できませんでした。自画自賛というか我田引水、用管窺天、世界の人々にはずかしく感じました。
> それまで日常なんだかんだと「みたらし」「だいふく」「もなか」「お〇べ」「リーフパイ」「かすてら」などちょこまか
うわわ,ドクターでも やはり好物には手が出るのですね.
>そもそも自分たちの食文化をジンガイ達に称賛してもらう
「国産 食材の消費促進に結び付けたい」という,農水省の強い後押しがあったようですね.登録申請に向けた検討会は,『ほとんど超法規的に設置された』ようですから.
https://kwansei.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=28379&file_id=22&file_no=1
ただ日本人も,もう『国連』=『国際社会』という幻想からは目覚めるべきだと思います.
>『和食の登録』と『和食文化の登録』は,何がどう違うのでしょうか
ユネスコに登録された頃、やっぱり和食は健康に良いのだと言う風潮があったように思いますが、おかしなことですね。
ユネスコは何も健康に良いとかと言う理由で登録しているわけではなく、あくまでも失われる文化の保護を目的としているのであって、食事内容と健康の関係には触れていないはずですよね(それはユネスコじゃなくてWHOの仕事ですから)。
これと対照的なものにアンチドーピングと言うものがありますが、これは明らかに不健康なものを摂取して競技のパフォーマンスを上げようとする行為をスポーツの世界から排除する事が目的だと思います。
因みに、相撲部屋の伝統食「ちゃんこ」も和食の一種だと思いますが、食文化でしょうか??
部屋の何人もがインスリンを打ちながら競技のパフォーマンスを上げる為にちゃんこを食べることはドーピングとどこが違うのでしょうね。
>ユネスコに登録された頃、やっぱり和食は健康に良いのだ
まず,これがメディアの捏造だったことは,明日の記事で紹介します.
運動はたしかに健康の秘訣でしょうが,プロスポーツとなると これは生業なのですから,健康増進と矛盾しても仕方がないだろうと思います.