食事療法の迷走[42] UNESCOの狂騒

UNESCO世界無形文化遺産に『和食』登録

2013年12月,日本の『和食』が世界無形文化遺産に登録されました. 新聞・テレビなどのメディアでも大々的に報道され,日本はお祭り騒ぎになりました.

(C) テレビ朝日

特に農水省は手放しの喜びようでした.

(C) 農水省

当時の農水省のホームページでは,「和食」登録をこう説明しています.

(C) 農水省

記念セレモニーまで執り行われています.

『和食』 ユネスコ無形文化遺産登録決定記念セレモニーが開催されました

糖尿病専門誌でも

この「和食」ユネスコ登録は,日本糖尿病学会で長年 『食品交換表』にたずさわってきた先生方には,非常に歓迎すべき話だったのでしょう.こういう記事もみられます.

本号の特集では「糖尿病の食事療法up to date」のテーマで糖尿病の食事療法に詳しい12名の先生方にご執筆頂いた.先ず和食の良さが再評価され2013年12月にはユネスコの無形文化遺産に登録された.この事は日本人にとってとても誇らしいことである.和食は,①多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用し,②バランスがよく,健康的な食生活で日本人の長寿,肥満防止に役立ち,③季節に合った調度品や器を利用し,季節の花や葉などを料理にあしらって自然の美しさを表現する等と特徴が述べられている.この素晴らしい和食を糖尿病の食事療法にも活用して頂きたいとの思いでテーマとした

『特集にあたって』
月刊糖尿病 2015年9月号特集『糖尿病の食事療法 Up to Date』
(C) 医学出版

ユネスコ登録は「ご飯」が決め手だったとの記事もあります.

「ごはんを中心とした和食」はユネスコの無形文化遺産にも登録され、健康的な食事スタイルとして世界的に注目されている。海外でも和食の健康増進の効果は注目されている。

「糖尿病ネットワーク」ニュース

このユネスコ登録によって,

食品交換表が規定する食事療法は,世界が認めたものなのだ】

という説明は,その後も おりにふれて強調されていきました.

ここまでくれば,『食品交換表』に疑義を唱えたり,糖質制限食を推奨する声は消えてなくなったのでしょうか? いいえ,むしろ 事態は逆に動きます.

[43]に続く

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