糖尿病学会 感想8 相棒

【この記事は 第68回 日本糖尿病学会年次学術集会のレポートではなく,講演を聴講した ぞるばの感想です】

学会二日目の午後は,イメグリミンの症例報告をじっくりと聴きました.
2021年にイメグリミンが発売されてから 4年経ちましたので,さすがに症例が積みあがっており,今学会では30本の症例報告がありました.

ただし その半分は,二日目午前のシンポジウム19と重なっていたので,実際に聴けたのは 後半の15本だけです.

中でも注目したのは,この症例(Ⅱ-118-1)です.

Kaku 2025

この記事で『イメグリミンは DPP-4阻害薬と組み合わせるのがいいのではないか』と書きましたが,実際 それをやってみたという症例です.

FAMLIAR試験とは,国内21施設が参加して,イメグリミンの長期にわたる(=104週)投与の効果を評価する試験です.今学会では,その内 第24週までの中間結果が報告されました.

従来治療では HbA1cが 7~9%よりも下げることができていなかった人を対象としています.この試験では,DPP-4阻害薬に加えて イメグリミン(1,000mg×2/日)を追加投与した群と,追加投与しない(=プラセボ)群とを比較しています.

24週までの全体の結果はこうなりました.

Kaku 2025 Fig.2を訳

24週目では,イメグリミン群はプラセボ対比で HbA1cが1.03%低下しています.

しかし,これを65歳未満の人だけでみると;

Kaku 2025 Fig.2を訳

プラセボ対比でのHbA1c低下は 0.69%と小さくなっています.

ところが65歳以上の人だけを見ると;

Kaku 2025 Fig.2を訳

プラセボ対比でのHbA1c低下は 1.22%と大きいのです.

比較するとこの通りです.

Kaku 2025 Fig.2を訳

DPP-4阻害薬は,日本でもっとも使われている糖尿病薬です. たしかに副作用が少なく,高齢者にも安心して使えます.
しかしながら,DPP-4阻害薬でそこそこHbA1cを下げたが,それでもまだ十分ではない,現状では こういうケースに次の一手がないのです.

そこで,本症例のようにDPP-4i阻害薬だけでは不十分な人に イメグリミンを「相棒」として追加投与して,HbA1cをもう一段 下押しするという可能性を示したものでしょう.

(C) テレビ朝日

   

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