新型コロナウイルス:BCG説を考える[1]

(C) R&M さん

BCGワクチンが新型コロナウイルスの重症化を抑制するのではないかという説があります. 現時点では WHOや専門家は懐疑的ですが,この説がどのようなものか調べてみました.

ただし この考察の目的は『新型コロナウイルス感染予防あるいは重症化予防のために,BCGワクチン接種を行うべきだ』ではありません.日本における感染ピークと収束を予測するための基本データの一つとして整理することだけが目的です.

国連に幻滅

私の世代が典型的ですが,戦後 日本の学校では『平和教育』と称して,無条件に国連をあがめることが正しいと教えられてきました.しかし,今回の新型コロナ騒ぎにおける国連WHOや,あるいは 世界遺産決定にあたり国連ユネスコの運営実態をみて,日本人もかなり冷静に眺められるようになったのではないでしょうか.

新型コロナウイルスについて,WHOは今年 1~2月頃までは,こう通達していました.

  • 2020年1月23日 現時点では緊急事態宣言は不要
  • 2020年1月27日 感染は増えているがパンデミックではない
  • 2020年1月30日 各国は移動制限すべきではない
  • 2020年2月24日 新型コロナウイルスの死亡率は中国武漢以外では0.7%に過ぎない
  • 2020年2月27日 新型コロナウイルス予防にマスクは不要

よくもまあと思うほど,WHOは世界に向けて ことごとく誤った情報を流し続けてきたのです.しかも これよりはるか以前,2019年12月31日に,台湾はWHOに対して

『中国 武漢でSARSに似たウイルス感染が発生している』

時事通信

と警告していたにもかかわらずです.

専門家に幻滅

同じことは,昨今 朝から晩まで頻繁にテレビに登場する 専門家の方々についても言えます. WHOと同様に今年の初めころには

患者に接する医療従事者が感染しておらず、死者も出ていない。それほど恐れる必要はなく、正しい情報を得て行動してほしい

2020年1月9日 読売新聞

と述べておりました.

メディアに幻滅

もともとそんなものだと思っていたので,今さら幻滅といってもその度合いは上の2つに比べれば小さいですが,今年の1,2月頃には「冷静になれ」「たいしたことはない」と連日報道していましたね.ところが今になって,緊急事態宣言が遅いだのアベノマスクがけしからんという手のひら返しです. メディア関係者は,ぜひ2か月前の自社の報道を再放送して『説明責任』を果たすべきです.

本日時点で,WHOや専門家の方々は,『BCG説には根拠がない』との立場です. しかし,ここまで 鮮やかに信頼を裏切られると,それならなおさら この説を調べてやろうではないかという気になりました.

[2]に続く

コメント

  1. 西村典彦 より:

    BCGでコロナに効果があるのは日本株とソ連株って言われてますが、ドイツでは旧東西ドイツで感染(重篤?)が全然違う事がそれを物語っているようにも見えます。ソ連株だった旧東ドイツは比較的感染が広がっていない。

    これは清水先生のブログに紹介されていますが、まぁ、他の要因もあるのかもしれないし、何ともですが、「効果がない」と言う表現は「調べていない」を含んでいる場合が往々にしてあるので試す価値はあるのではと思いますね。

    BCGを皮下注射してしまって発熱などの副作用が出てしまった「事件」があったようですが、医師でもBCGの扱い方を知らないのはびっくりでした。

    • しらねのぞるば より:

      東西ドイツの例,そしてスペインとポルトガルの例が よくあげられていますね. 只今後者を調査中です.ただ詳しいデータを集めようとすると,スペイン語とポルトガル語になるので,翻訳にかかりっきりです. Googleもこれらの言語になると日本語翻訳がへたくそですので,一旦英語に翻訳しております.

  2. 西村典彦 より:

    ロックダウンは有効なのでしょうか。ふと私の中で疑問が浮上してきました。

    ロックダウンに限らず、日本でも外出自粛によって80%の接触を削減すれば感染拡大が防げると言う理屈で、80%の根拠は集団免疫だと思うのです。そうなると一人から一人以上には感染しないと言う免疫学、統計学における経験値、理論値ですね。

    現在の免疫獲得率は武漢や他の都市においても15%程度のようですから80%には程遠い数値です。
    接触を80%削減する事は、集団免疫獲得率80%を模倣する人為的な方法だと思うのですが、ひとつ違いがあります。実際には免疫獲得率が80%に達しないと言う事です。
    この状態で鎮静化するには、新型コロナを封じ込めないと再燃する可能性が否定できません。他に意味があるとすれば急激な患者の増加を防いで時間稼ぎによって医療崩壊を防ぐ事でしょうか。

    いずれにしてもロックダウンや外出自粛は新型コロナの流行を長引かせるような気がします。スエーデンはロックダウンしていないけど他のロックダウンしている欧州各国と同等かそれ以下でロックダウンは意味がないと言うデータもありますね。

    • しらねのぞるば より:

      国民の大多数が感染し,抗体ができて免疫を獲得すれば,感染は収束に向かうでしょう.
      なので,ワクチンがない以上,いかに犠牲者を少なくしつつ全国民に感染をいきわたらせるかという問題です.
      戒厳令でも出して社会を凍結し,毎日100人ずつしか感染者が増えないようにすれば,すべての新規感染者に手厚い治療ができるので,死者は最小限になるでしょう.しかし それでは 1億2千7百万人÷100人/日で 3,500年もかかってしまいます.
      逆に毎日100万人ずつ感染が増えるように,積極的に移動や密集集会を奨励すれば,4か月で国民全員が感染しますが,この場合は屍累々です.

      結局はその中間で,ワクチン又は治療薬が確立されるまで『時間稼ぎ』をするしかないと思っております.