『暁現象への対処法』 の記事で,
『暁現象』とは,人が目覚める時刻の数時間前から起床に備えて,コルチゾールなどのインスリン拮抗ホルモンの分泌が始まるために,じわじわと血糖値が上がる現象です,ただし 健康な人では,同時にそれをキャンセルするようにインスリンの分泌も少し増えるので,起きた時に血糖値が高くなることはありません.
と書いたところ,このご意見をいただきました.
正常人も糖尿病の人も明け方のインスリン量は、別に変らないのでは? 正常な人は耐糖能が高いのでインスリン分泌を増やさなくてもいいはずです。
そこで調べてみました
この文献は,6人の健常人(男性 2;女性4)の深夜24時から翌朝8時までの血糖値と血中インスリン量を1時間おきに採血して調べたものです.
その結果は下図の通りで;
やはり,健康な人でも 明け方の血糖値上昇を抑え込むために ほんの少しインスリン分泌量を増やしているようです.
糖尿病ではなぜ起こるのか
米国の調査ですが,2型糖尿病の人の50%くらいは『暁現象を経験したことがある』と,アンケートに回答しています. 健康な人が上記のように,インスリン分泌を増やして対応しているのであれば,糖尿病の人はどうなっているのでしょうか? 可能性は2つ考えられます.
- [A] 健常人と同様にインスリン分泌は増量しているのだが,血糖値を抑え込めていない = インスリン抵抗性
- [B] 健常人に比べて,わずかな血糖値の上昇には対応が鈍くなっているのでインスリン分泌の増量が起こらない,又は 遅延する = グルコース感受性の鈍化
糖尿病をすべて肥満とインスリン抵抗性だけで説明する人なら[A]案をとるでしょうし,それは米国型糖尿病については正しいと思います.しかし日本人に多いやせ型糖尿病では[B]なのではないかなと思います.
コメント
「耐糖能」とはインスリン抵抗性、インスリン分泌量など全てを総合して一定の糖質量に対して血糖値がどれくらい上がるかと言う、様々な機序を総合した結果だと思うのですが、質問主様は、耐糖能と言うものがインスリンなどの作用とは別に存在し、その能力が高ければ血糖降下にインスリンが不要と考えておられるのでしょうか。
例えば、GLUT4の発現はインスリンの分泌を伴わず、耐糖能を改善すると言えそうですが、寝てる間に運動するわけもなく、インスリン分泌を伴わずに血糖値を下げる(上げない)ためには、糖新生を抑えるしかありません。
ここまで書いて、もしや思ったのですが、
>「正常人も糖尿病の人も明け方のインスリン量は、別に変らないのでは?」
「変わらない」と言うのを
①「明け方の正常人のインスリン量=明け方の糖尿人のインスリン量」と読むか、
②「明け方のインスリン量=それ以外の時間帯のインスリン量(正常人も糖尿人も)」
と読むかで変わりますが、もしかして、前者とすれば、質問主様は、正常人にも暁現象は存在するとおしゃられているのでしょうか?
だとしたら、そんなデータ見たことがないので「そんなことはない」と言い切る自信はありません。
ぞるば様、この点、いかがでしょう。正常な万人には本当に暁現象はないのでしょうか。
> 質問主様は、耐糖能と言うものがインスリンなどの作用とは別に存在し
正確なところは,質問をされた方にしかわからないのですが,おそらく「血糖値を上げない能力」という風にとらえているのでしょうね. 単に「健常人」というつもりだけかもしれません.耐糖能とは Glucose Tolerence,つまり糖質を摂っても血糖値上昇を生じない能力のことですから,私も西村様と同じ考えです.
>「正常人も糖尿病の人も明け方のインスリン量は、別に変らないのでは?」
私は,この文章を,「正常人も糖尿病患者も明け方にインスリン量は増えないはずだ」,つまり
>②「明け方のインスリン量=それ以外の時間帯のインスリン量(正常人も糖尿人も)」
と主張されているのだと解しました.インスリン基礎分泌は,一日中常に変わらない,と書いている書物などもあるので,そう思ったのかと.
> 正常な万人には本当に暁現象はない
この論文の6人の正常者に限れば,夜間と起床時の血糖値は,常に90前後と有意差はなかったので,暁現象はなかったと思います. またすべての『健常者』とは 朝の空腹時血糖値が 110(又は100)未満の人ですから,仮に 夜間に比べて血糖値が上昇していたとしても,わずかな量だと思います.夜中に血糖値が70以下になる「健常者」がいれば別ですが.
ただCGMが普及してきて,対比のために健常者に装着してもらったデータなどみると,夜間に80くらいの人は珍しくないので,そういう意味では健常者でも多少血糖値が上昇する人もいるとはいえそうです.
しらねのぞばるさん こんにちは(⌒∇⌒)
最近 糖質をタップリ取っているのにもかかわらず
HbA1が5.4|~4.8の人をよく見ます。
私の場合 ご飯80gがやっとです。それ以上食べたら
血糖値爆上がりです。 糖新生や暁現象は糖質制限に関連
しているのでしょうか?
糖質制限を何時までやるか 私にとって大きな課題です。
まず 現在 とむ^^ 様が肥満,または肥満気味であれば,できるだけ早く健康的に(*)肥満を解消するのが 何よりも近道だと思います.これは糖尿病だけに限りません.
(*)「健康的に」=無理な断食や極端に過激な運動などせずに,という意味です.
> 私の場合 ご飯80gがやっとです。それ以上食べたら
> 血糖値爆上がりです。
耐糖能,つまりどれくらいの糖質でどれくらい血糖値が上がるかは 人それぞれです. 一度に大福を5個くらい食べても,血糖値はピクリとも動かない人はいます.いつまでそれが続くかは不明ですが.一朝一夕に耐糖能は変わらないと思った方が,精神的にはいいと思います.
>糖新生や暁現象は糖質制限に関連しているのでしょうか?
あくまでも,私個人の1症例にすぎませんが,糖質制限食(★)を続けていたら,食後高血糖がなくなったのは当然の結果だとしてもそれだけでなく,空腹時血糖値が低下し,暁現象が解消したのは記事で述べた通りです.
(★)私の場合は,「スーパー糖質制限食」でも,「緩やかな糖質制限食」でもなく,その中間です. また 糖質量だけをみているだけで,食べるものは特にえり好みはしていません.
> 糖質制限を何時までやるか 私にとって大きな課題です
私も糖質制限食を開始してから,2~3年目はそういう心境でした.「これ,一生 続くのかいな」と. ただ血糖値だけでなく,年単位で健康診断データをグラフにしてみたら,徐々にすべてが改善していくのをみて,これでいこうと思いました. 私が助言できるとしたら,「血糖値の乱高下が起こらない食生活・運動習慣を続けていれば 悪いようにはならない」ということぐらいです.明らかな糖尿病になったのであれば,それは何年もかかってそうなったはずです. とすれば そこから回復するには,やはり同じくらいの年数がかると思っています
とむ^^ 様、参考までに私のこれまでの経緯を書くと、
現在の私は、素うどん1杯で200近くまで上がります。そしてベースに戻るのは4~5時間後です。
若いころ、炭酸飲料を飲んだ後に体がだるくなる事を時々経験していましたが、その時は炭酸のせいか?と思っていました。もう40年近く前の事です。
最近の10年くらいは、だんだんと体重が増え(それでもBMI24ですが)、夕食後は、居間で横になると起こされても起きる気力がない事がしばしばありました。
そして、寝てると夜中に大量の汗をかいて着替える事が何度も。冬でもです。
そのころは、仕事も忙しく、日付が変わってからの夕食などざらと言う規則正しく悪い生活をしていたので、疲れがたまってるのかとあまり深くは考えませんでした。
さらに最近は、運動してもすぐにエネルギー不足を感じ、年のせいかとあきらめていました。
そして、健康診断や別件での血液検査で血糖値が高い事が多くなり少しは気になりだしていたのですが、肥満でもないし、中性脂肪も肝機能もすべて正常値だし、血縁者に糖尿病はいないし、その内、下がってくるだろうくらいに思っていました。
ある時、別件の検査で「これ糖尿病と同じくらいの数値だけど。。。」と言われて、それまで見ぬふりをしていたのに、なぜかこの時は素直に認めました。
病院からの帰りに「これが最後か~」と思いながら、とりあえずその日はうどんを食べました。悲壮な決意だったのでしょう。懐かしいですね(笑)。
明日からやるやると言ってやった奴はいないのが世の常です。
しかし、私は何かにとりつかれたようにスーパー糖質制限を始めて2年が過ぎました。
なぜ唐突にスーパー糖質制限を始めたのか全く思い出せません。「これ糖尿病と同じくらい。。。」と言った医師の声は「神のお告げ」だったのでしょう。
その後に受けたOGTTでは5時間後に40台まで下がりましたから、今、思えば炭酸飲料のだるさはペットボトル症候群(当時、そんなハイカラな言葉はありません)の低血糖症状で、大量の寝汗も夕食後の低血糖症状の可能性があります。
運動中のエネルギー不足は、すでに耐糖能が悪化し、糖がうまく代謝できなくなっていたのだろうと思われます。
糖質制限で脂肪酸エネルギーにすると10年前と変わらない体力が戻っていますし、昨年よりも今年の方がさらにエネルギー不足は感じません。
このように過去を振り返れば、数十年かけて悪化したと思われるので、きっとアラ還な私の残りの人生では完全に元通りにはならないでしょう。
それでも一喜一憂しながら、少しずつは改善し、新たな発見があります。改善がみられる限りこの食生活を(少しはアレンジしながら)続けると思います。
そして糖質制限を始めて、良かったのは血糖値のみならず、年のせいだと思っていたほとんどが改善した事です。
指関節の痛みや手のむくみなど、それまで整形外科で診てもらっても改善しなかったものが跡形もなく完治しました。
眼科で見つかった眼底出血痕も消失しました。
年を取って気になっていた汗臭さもなくなりました。
「これ糖脳病。。。」と言った医師に診てもらっていた片頭痛もなくなりました。
今が、人生で最も健康的だと思える日々です。
糖尿病にでもならなければ、こんなに真剣に健康の事を考えることはなかったでしょう。
今は、(私の場合は)世間の常識とは違い、食事の影響をもろに受けるコレステロールをうまくコントロールする方法を模索中です <食べなければいいだけですが、そうもいかず(汗
しらねのぞばるさん 今晩は(⌒∇⌒)
「血糖値の乱高下が起こらない食生活・運動習慣を続けていれば 悪いようにはならない」
そのとうりですね。糖尿病になって1年と半年なのに 短期間でHbA1が5.4~4.8に回復してる人たちのブログ見て少しあせっていたようです。これからは あせらずゆっくり糖質に気よつけつつ、ベストな生活を心がけていきます。
それから 私は糖尿病になる前は体重;55 今現在は:47です。あっ身長は165有ります。
食後にはジョギングしていますが 筋トレは苦手でほとんどしていません。
1食の糖質は20g以内にしています。
私みたいな者に 丁寧にご説明やご意見を聞かせて下さいまして有り難うございます。
初めまして 西村 典彦 さん(⌒∇⌒)
西村さんの体験談を読んでいると 糖尿病になる前の自分を思い出しました。
糖尿病と診断される10か月前 健康診断を受けていました その時の血糖値は110でしたが
特に指摘されなかったので気にもしませんでした。私はコーラなどの炭酸が飲めないかわりに
あま~いコーヒーが大好きでした。ゆっくりお茶なんてする時間がなかった私は いつも
チョコレートを持ち歩いていました。それが悪かったのかは分かりませんが糖尿病と診断される前 食事が終わると無性に眠くなりました。喉も渇きあま~いアイスコーヒーをガブガブ飲んでいました。その内体重が日に日に減ってきたので 『おかしい?』と思い病院へ・・・・
1週間の教育入院し帰宅した私はまだ服薬以外にインシュリンを打っていましたが急な
低血糖で倒れ2回ほど病院に運ばれました。それ以来インシュリン注射は使っていません。
それからひたすら糖尿の改善のためネットで調べまくりました、でやっとここのブログにたどり着きました。西村さんの言われる通り『糖尿病にでもならなければ、こんなに真剣に健康の事を考えることはなかった』と私も思います。ご自身の体験談聞かせてもらえて嬉しいです。
有り難うございました。m(_ _”m)