そんなに食べていないはずだが[1]

もう一つ この記事 に関して お寄せいただいた質問です.

この記事では普通の成人男性なら 2,300~3,500kcalをカロリー消費しているとあるが,自分は毎日1,600kcalくらいしか食べていないはずなのに,それでもどんどん太っていく. 本当にこんなに消費カロリーが大きいのだろうか?

というものです.

しかし,厚労省のデータは 推測値ではなく,DLW法 による実測値を基にしているので この数字は過大ではありません.

だとすれば,

自分は毎日1,600kcalくらいしか食べていなはずないのに

ここがそもそも違っているのでしょう.成人男性ならほとんど運動しない人でも,少なくとも毎日の消費カロリーの実測値は2,300kcalくらいなので,本当に1,600kcalしか取っていないのであれば,おそろしい勢いでやせ細っていくはずです.

毎日の食事を記録してください

栄養指導において,まず管理栄養士が行うのは,患者に『毎日の自分の食事を正確に把握してください』ですが,その方法にはいくつかあります.

食事記録法

食事を食べる前に,食事の内容,重量(又はボリューム)などを記入用紙に詳細に書き留める方法です.
(例:ご飯 茶碗1杯,鯵の塩焼き 中1匹,ほうれん草のお浸し 80g など)
しかし,この方法では 正確な数量は把握できません.ご飯茶碗の大きさは色々でしょうから,正確には茶碗によそったご飯を,一度キッチンスケールにぶちまけて秤量せねばなりません. 中サイズの鯵1匹と言われても,季節により脂ののり方はまるで違います.ほうれん草のお浸しも,重量を測ったとしても,そこに使われている砂糖などの調味料の量は家庭によって違います. 市販の総菜ならまるで不明です.

食事摂取頻度調査法 FFQ(Food Frequency Quest)

『あなたは 以下の食品を 週に何回食べますか』『卵は 週に何個くらい食べますか』などという質問に回答してもらう方式です.その人の食事嗜好傾向は割合正確にわかりますが,当然ながら『摂取量』については正確性は望めません.

食事歴法

食事の内容や量を直接尋ねるのではなく,『好み』を質問して,その人の食生活全体を把握する方法です.質問は『辛い物が好きですか』『煮物よりは揚げ物が好きですか』などというもので,高血圧と塩分摂取量との関係などを把握するには適した方法ですが,摂取カロリーは推測するしかありません.

食事思い出し法

一定の期間(過去1週間などと)に食べたものを,思い出してもらう方法です. 質問者は 精巧に作られた食品見本や写真などで,何をどれくらい食べたのか聞き取ります. しかし,被験者が食べたことすら忘れている食物があれば,それはカウントされません. 間食が習慣になっている人では,まったく記憶にないことも多いようです.

しらねのぞるばは,酒に酔ったら昨晩何を食べたのかすら思い出せません.酒を呑んだことくらいはおぼろげながらの記憶はありますが.

(C)しずく さん

[2]に続く

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