食事療法

食事療法の迷走[30] ジェットコースターよりメリーゴーランド

ACCORDとDCCTの差ACCORDとDCCTは,ほぼ同じ実験コンセプトでした.糖尿病であっても その血糖コントロールを正常人にできるだけ近づければ,合併症リスクもまた正常人並にさげられるはずだと予測していました. 実際どちらも,その時点...
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食事療法の迷走[29] アコード ショック

初代アコード(C) HONDA2008年 ACCORD ショック2008年に世界の糖尿病医学界に激震が走りました. 俗にいう『アコード ショック』です.と言っても HONDAのアコードのことではありません.ACCORD(Action to ...
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食事療法の迷走[28] HbA1cも糖尿病の指標となった

1993年に発表されたDCCTの大規模研究結果は,緻密な研究計画の基に,血糖コントロールと合併症リスクとの関係を鮮やかに証明したものでした.N Engl J Med 1993; 329: 977-986合併症リスクが数値化されたそれまでは血...
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食事療法の迷走[27] カーボカウント

大規模臨床研究 DCCTでは.緻密な計画が功を奏して きめ細かい糖尿病管理が確実にHbA1cを低下させ,しかもそれが持続して合併症の発生・進行も抑制できることを 鮮やかに証明しました.N Engl J Med 1993; 329: 977-...
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食事療法の迷走[26] HbA1cが低いと合併症も少ないとわかった

DCCT少し年代をさかのぼりますが,1993年にDCCT( The Diabetes Control and Complications Trial)という臨床研究の結果が発表されました.N Engl J Med 1993; 329: 97...
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食事療法の迷走[25] 2002年 食品交換表 第6版に改訂

食品交換表 第6版2002年に食品交換表は第5版から第6版に改訂されました.(C)日本糖尿病学会第5版から第6版への変更点は ごくわずかで3箇所だけです.ただし そのうち2箇所は,本質的な変更ではありません.1つは,2001年に『日本食品標...
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食事療法の迷走[24] 食品交換表 第5版~第6版の間には

1993年に『日本食は理想の健康食』を前提として,食品交換表第5版が発行されました.しかし その翌年 米国糖尿病学会が『万人に共通した栄養素比率など存在しない』と声明を出して,『あれれ?』となりました.その後 日本糖尿病学会はどうしたのか,...
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食事療法の迷走[23] 米国『炭水化物比率の指定はやめた』日本『ええっ?』

すべての日本人は炭水化物60%を守らなければならない1986年に米国糖尿病学会(ADA)は,食事ガイドライン "Nutritional Recommendations and Principles for Individuals With ...
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食事療法の迷走[22] 日本食こそ世界の理想食だ!

Japan as No.1敗戦の焼け跡から高度成長が始まり,年ごとに暮らしが豊かになっていった日本にとって,マクガバン・レポートと相前後して出版された Ezra Vogelの "Japan as Number One"は,日本人の自尊心を快...
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食事療法の迷走[21] インスリン抵抗性説の浮上

日本人よりもはるかに心疾患死亡率の高い欧米で,各国の糖尿病学会が『糖尿病の食事療法では低脂質・高糖質の方が安全なのではないか』という方向に一斉に傾斜し始めたのが1980年代前半の動きでした. 日本糖尿病学会は,最初の頃は冷静だったのですが,...
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食事療法の迷走[20] 揺れる日本糖尿病学会『これでいいのか?』

(C) 原へりな さんマクガバン・レポートは,その科学的根拠が批判されたにもかかわらず,1980年代になると『米国食事ガイドライン』『米国糖尿病学会食事療法ガイドライン』に『高糖質・低脂質食の推奨』という形で浸透していきました.しかし,この...
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食事療法の迷走[19] それでいいのか,ADA?

米国糖尿病学会(ADA)が1979年に発行した糖尿病食事療法ガイドラインで,根拠を明示せずに『一般論として脂質を控えた方がよい』と書いたことに,当然ながら 【異議あり!】が続出しました.そのもっとも強烈な例がこれです.欧州糖尿病学会誌 Di...
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食事療法の迷走[18]米国糖尿病学会はどうしたか

反対者が続出したとはいえ,マクガバン・レポートの提言は米国糖尿病学会(American Diabetes Association = ADA)に大きな影響を与えました.マクガバン・レポートに多数引用された当時の文献では,ただでさえ高い米国人...
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食事療法の迷走[17]米国 食事ガイドラインの成立

『米国人の食事は脂質過剰であり,それが心疾患増加の原因になっている』と訴えて マクガバン上院議員は特別調査委員会報告書(=マクガバン・レポート)を議会に提出しました.マクガバン議員は,これを米国人の食事基準として法案(Act)にまで持ってい...
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食事療法の迷走[16]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(3)

前回は,マクガバン・レポートの第1版・第2版 報告書で,日本という単語("Japan" 又は "Japanese")が登場する箇所を検索してみました.今回は,その第2版報告書に参考として添付された『補足文書一覧』(Supplemental ...
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食事療法の迷走[15]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(2)

マクガバン・レポートは『日本の,それも江戸時代・元禄期の日本食が理想的な食事だと結論した.』というのはデマであると書いた,この記事について;マクガバン・レポートでは,日本の食事が心疾患の低い原因だと評価していますというご指摘をいただいた件の...
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食事療法の迷走[14]マクガバン・レポートは日本食を絶賛した?(1)

前回までの記事で,『マクガバン・レポートが日本の,特に江戸時代・元禄期の日本食を理想的と評価した』というのはデマであると書きましたが,これについてマクガバン・レポートでは,日本の食事が心疾患の低い原因だと評価していますというご指摘が届いてお...
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食事療法の迷走[13]マクガバン・レポートの実際2

マクガバン議員が,当時の米国人の平均的な食事から見れば,『大幅に脂質を減らして,糖質の摂取を増やす』よう提案した,その動機は何だったのでしょうか?それは当時 議員(及びそのスタッフ)の手元に集まった資料を見れば明らかです.おそらく議員はこの...
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食事療法の迷走[12]マクガバン・レポートの実際1

マクガバン・レポートの風前記事で,第5版の食品交換表が それまでの路線から正反対に豹変したのは,米国からの風であったと書きました.その起点が,1977年に米国 上院 特別調査委員会から出された"Dietary Goals for the U...
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食事療法の迷走[11]食品交換表 第5版に至る背景

第5版を生んだ背景食品交換表は,初版から第4版までは,「1,200kcalまでは基礎食として炭水化物/脂質/蛋白質の摂取量を指定. それ以上は付加食で患者の自由」であったのに.第5版からは箸の上げ下ろし,いや,「カロリー・栄養素構成のすべて...