俗に『脳内ホルモン』と呼ばれるカテコールアミンという物質は,脳内で働いて人間の感情をつかさどる作用もあります.
ノルアドレナリン
前回記事でノルアドレナリンをあげましたが;
我々人類がまだ猿だったころ,草原で天敵の猛獣とバッタリ出くわしたら,一目散に逃げだすか,腹をくくって戦うか,どちらにせよ迅速に行動しなければいけません.脈拍・心拍数はあがり,緊張のあまり冷や汗が出ることもあります.アドレナリンもノルアドレナリンも,これなくしては種の維持ができませんから,人類のもっとも本能的な行動に結びついています.
それ以外にも代表的なものでは;
セロトニン
うつ病は,このセロトニンの量が低下することが原因ではないかという説で有名です. 人体が自分の体内で作る『精神安定剤』です.気分は落ち着き,精神の安定を保とうとします,したがって(ノル)アドレナリンの暴走を抑える役目も果たします.
『精神の安定を図る』というと寝てしまうのかというと,そうではなくてリスクを回避する 警戒ホルモンでもあります.ボーッとしているとチコちゃんに叱られる..ではなくて,猛獣に不意打ちをくらうかもしれませんから,落ち着いて状況を把握するという状態にするのです.ピタリと正眼に構えた剣道の達人のような心境ですね.
ただ脳内ホルモンとして有名なセロトニンですが,精神状態だけでなく,実際には人体のいろいろな臓器の調子をつかさどっているようで,腸の蠕動・心臓の円滑な動作等々(多分,この件は 別記事でじっくり考えてみますが),この論文によれば;
従来考えられていたよりも非常に広い影響を及ぼしている大事なホルモンのようです.
ドーパミン
ノルアドレナリンと構造がそっくりです.実はアドレナリンもノルアドレナリンも,このドーパミンが原料なのです. ただしドーパミンの作用はもう少し実用的で,脳が体の随意筋(つまり消化器官や心臓のように勝手に動いている筋肉と違って,脳からの指令が来て初めて動く筋肉)に,『動け!』という命令を伝達するホルモンです. ですので,脳内でドーパミンが不足すると,歩こうとしても足が出ない=パーキンソン症状が発生します.
またドーパミンは『愉快ホルモン』『学習ホルモン』つまり前向きの意欲をかきたてるホルモンでもあります.目新しいことに興味を示す好奇心ホルモンです.
これはおそらく原始哺乳類が,食いっぱぐれないように,常に 新しい獲物や餌を探して試してみたことのなごりなのでしょう.
人間の精神状態や活動をつかさどるこれらのホルモンは,では血糖値にはどのような影響を及ぼしているのでしょうか.
[3]に続く
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