暁現象 続編[1] 暁の偵察

暁の偵察
(C) [株]ブロードウェイ

ホリデー様のブログ記事「起床時血糖値」を読んでいて,暁現象,特に前の晩に比べて起床時の血糖値が高い,いわゆる普通の『暁現象』ではなくて, 本ブログの『朝日が2つ上がってきた』の記事にも書いた;

起床時の血糖値は高くないのに,しかも食事も摂っていないのに,午前中 血糖値が上昇する現象

2つの「暁現象」

私が「2つ目の朝日」と名付けた,この現象について もう少し調べてみました.

もう一つの暁現象はなぜ起こるのか

この現象については,長野県にある,純民間としては日本屈指の大病院である相澤病院が精力的に観察を続けた結果,

  • この現象が見られる人は糖尿病患者である
  • しかし,糖尿病患者でも 基礎インスリン分泌が非常に少ない人にはむしろ見られない(通常の暁現象はみられるが)
  • この現象が見られる人の午前中の 尿中ノルメタネフリン濃度は高い
  • ノルメタネフリンは,体内で分泌されたノルアドレナリンが代謝排泄されたものである
  • したがって,この現象を呈する人は,午前中のノルアドレナリンが何らかの理由で亢進するのだろう
  • 試みに アドレナリンの作用を阻害するドキサゾシンを投与すると,この現象は緩和される

ということが判明し日本糖尿病学会 年次学術集会で発表していました.

第56回糖尿病学会 2-P-161 (2013)
第59回糖尿病学会 1-P-178 (2016)
第60回糖尿病学会 2-8-19 (2017)

ノルアドレナリンというホルモンにはなじみのない人もいるかもしれませんが,アドレナリンと同様に「闘争ホルモン」「攻撃ホルモン」であり,要するに喧嘩っ早くなるホルモンです.少量の分泌であれば,人を活発・快活にするという作用もあります.

前回の記事では,ここまでで一段落しているのですが,では なぜこのような現象が見られる人とそうでない人がいるのでしょうか. その差はどこからきているのでしょうか.

[2]に続く

コメント