前回記事を書いた後,思い出したことがあります.
このブログを開設した当初,日本人の糖尿病と 欧米白人の糖尿病とは まるで別物ではないかと思い,糖負荷試験を受けた人のデータを送っていただくよう呼びかけました.
すると 実に大勢の人から 糖負荷試験結果をお送りいただきました. あらためて御礼申し上げます.
その結果をまとめたのがこの記事でした.
今 あらためて まとめた結果をながめてみると,

日本人と欧米白人のインスリン分泌パターンはまるで異なること,そして日本人もいくつかのグループに分かれていることがわかります.
なお,この図の横軸は QUCIKIという指標です.

空腹時の血糖値とインスリン量から計算するもので,どちらも分母に入っているので,血糖値及びインスリン量が低い(少ない)ほど QUICKIは大きくなります. つまり空腹時にインスリン濃度が低く,それでいて血糖値も低いのなら,よほどインスリン感受性がいいのだろう,というわけです.したがって QUICKIはインスリン感受性の指標です.
これは ちょうどインスリン抵抗性の指標である HOMA-Rを表す式;

の分母と分子をひっくり返したようなものが このQUICKIです.
ただしQUICKIではインスリン及び血糖値の対数(10を底とする)をとっているのがミソです. インスリン量が非常に低いと,特に1.0を下回ると,その対数は大きな負の値になるので,それだけ QUICKIは大きな数値になります. 欧米白人では,そんな低い空腹時インスリン値はありえないので,この効果は欧米ではほとんど注目されていません. しかし日本人には空腹時インスリンが1.0未満の人は珍しくないのです.したがってQUICKIは,インスリン感受性が特に高い人を鋭敏に検出できる指標です.
そして縦軸は 糖負荷試験30分時点での血糖値とインスリン値から同様に計算したものです.

これもQUICKIと同様に,糖負荷がかかった時に,どれだけ少量のインスリンで血糖値上昇をくいとめられるかの指標といえるでしょう.
上図の通り,日本人のインスリン感受性は 全般に非常に高いのです. この図ではおおまかに3つに分類しましたが,
- 米国人糖尿病患者と同様に,空腹時/糖負荷時 どちらもインスリン感受性が低い=インスリン抵抗性が高い 欧米型の【分類1】の人
- 空腹時にはインスリン感受性は非常に高いが,糖負荷がかかると それが下がってしまう【分類2】の人
- そして,空腹時にはそれほどでもないが,糖負荷がかかると 抜群のインスリン感受性を示す【分類3】の人
などと かなり明瞭な特徴を持つグループが存在していると思います.
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