では,日本人の痩せ型は?[その3完]

日本人はマラソン選手型

古代からつい最近までの日本人庶民は,少ない食事で一日中こまめに動き回るという生活をしていたと思われます.といっても一日中筋トレをしていたわけではありません. ごく普通の日常活動をしていただけです.持続的な運動ではありますが,激しい運動ではありません.毎日続けられたのですから. だからこそ個々には非力でも,持続力はあるのが伝統的日本人です.仁徳天皇陵はその一例です.

(C) F. Inushita さん

マラソン選手は200kgのバーベルは持ち上げられませんが,逆に重量挙げ選手はマラソン完走は困難でしょう.持続運動に 並外れた太い筋肉は必要ないのです.むしろ自分の体重の重さのために早くバテてしまいます.

日本人はインスリン分泌不全ではなくて

よく グリコーゲンは財布の中の現金,内臓脂肪は普通預金,皮下脂肪は定期預金にたとえられます. 余剰カロリーがあった時は,すぐに取り出して使える肝臓や筋肉のグリコーゲンに,それでも余剰があれば内臓脂肪に,まだまだ余るのであれば飢餓に備えて皮下脂肪に蓄える,これが氷河期を乗り切った人類の代謝生理ですが,粗食と小さな体の日本人には,皮下脂肪=定期預金にまで回せるほどの余剰カロリー=収入がなかったのです.グリコーゲンや内臓脂肪は翌日の労働で使い切る,『宵越しの脂肪は持たねぇ』のが典型的日本人だったと思います.

このような生活の繰り返しであれば,ほとんどインスリンの出番はありません.摂取した糖質のほとんどは非インスリン依存的に吸い込まれていたからです. だからインスリン感受性は高くそれほど多量のインスリン分泌は必要がない(=出せない)のでしょう.

日本人は全員インスリン分泌不全か の記事にも書いたように,糖負荷試験の個人別 生データを見ると,多くの人のインスリン分泌量が少なく,かつ遅いのに驚きます.しかし,糖負荷試験のように瞬間的に大量の糖質が体内に入ってくるというのは伝統的日本人では想定外の事態で,追加インスリン分泌が必要になると,大騒ぎになります.あわてて膵臓が製造を始めますが,とうてい間に合わない. これが外からみればインスリン分泌遅延に見えるだけ.

日本人が インスリン分泌不全・遅延だというのは,現代の食生活・ライフスタイルを基準にするからそう見えるのであって,正確にはインスリン分泌不要だったにすぎないと思います.まして多量のインスリン追加分泌が必要になるほどの多量の糖質摂取は,年に数度の正月やお祭りの時だけだったはず.お祭りの時の強飯(ごうはん)は 普段の粗食の裏返しでしょう

(C) 高見林業のブログ 「社長が行く!」

では現代ではどうすればいいのか

本来 痩せ型でバランスしていた日本人のインスリン感受性が低下したり,まして肥満でインスリン抵抗性が発生する,というのは,ライフスタイルと体質のミスマッチが原因と考えます.

日本人の体質が以上の通りであるとすれば,二者択一です.

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伝統的粗食と,車は使わず,電車にも乗らず,どんなに重いものがあってもかついで目的地まで歩く.でも,これは無理ですね.とすれば;

体質と現代生活との折り合いをつける

自分の耐糖能を正確に把握したうえで 限界以下の糖質摂取量に控えるしかないと思います.もちろん,筋トレとは言わずとも 常に軽く体を動かしていることも必要です.

[その3 完]

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