以前の記事 で,患者が血糖値記録ノートに記入した値が本当かどうか,しっかりチェックしている病院の話をとりあげましたが,学会発表,特にポスター発表をながめていると,今回の学術集会に限らず,時々思わずニヤリとするものをみつけることがあります.
食後高血糖に悩んだら
食後に爆上がりする血糖値.
糖質を減らせとか,低GIの玄米にしろとか,食べ順を考えろか,とにかくそんな面倒なことはいやだ,という人は多いでしょう. そこでご提案です.
何も変える必要はありません. こうすればいいのです
第62回JDS 学術集会 3-P-272 で報告されていた実例です.
空腹時血糖値=123,HbA1c=8.0% (いずれも平均値)の糖尿病の人4人に,ごく普通に食事をとってもらいましたが,『ある方法』を実行するだけで,食後血糖値は50mg/dlも低下,にもかかわらず C-ペプチドの分泌は6→5以下,つまりインスリン分泌は逆に低下したのです.
魔法?
いいえ,こう指示しただけです.
『お箸は左手ですよ』
これだけ.
4名は全員 右利きですので,逆の利き手を使って食事をしてもらったのです. すると,どうなったでしょうか? まず,食事にかかる時間が長くなりました(10~15分 → 20分以上).そのため咀嚼回数も増えました. つまり食べ物を口に運びにくいので,しかたがないからその間 モグモグしていたのですね.
やっぱり時間が決め手です
これも以前の記事で.『玄米を早く食べるよりも,白米をゆっくり食べる方が血糖値が上がらない』 という実験結果を書きましたが,おおらかな気持ちで,ゆっくりと食事をとれば ただそれだけで 食後血糖値の上昇はかなり抑えられるのです.
もっとも私は 箸の使い方が下手なので,どうしても煮豆をうまくつまめません. それを逆の利き手でやれと言われたら,1日かかっても食事が終わらないかもしれませんが.
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