前回[その1]のグラフ[以下は再掲]を見ると,たしかに 野菜先食べ(Vegetable 1st)の方が,血糖値の変化は緩やかで,しかもピーク値が低くなることは確実なようです.
食事開始時間が同じでいいのか
ただ,現在では修正されているかもしれませんが,最初にこのデータを見た時に,『食事開始時点』の定義があいまいかなと感じました. つまり血糖値上昇の主因である主食(炭水化物)の摂食タイミングが30分ぐらい違うのだから,ピーク値になる時間がその分ズレて当然だからです. 主食を食べ始めた時刻を基準にすれば,実はピークに達する時間は,それほど変わっていません. 但し ピーク値は【1】[野菜が先]の方がたしかに低いです.
これは食物繊維の効果だけなのか
ところが,その後 多くの医療機関で追試が行われるにつれて,『野菜に多く含まれる食物繊維が,小腸でのブドウ糖吸収を妨げる』という,当初の説明は変わってきました.
インクレチン効果もあるのでは
食物から栄養成分を吸収するのは小腸,特にその上部です(それより上にある胃や十二指腸は,消化器官ではあっても,吸収器官ではありません). そこで小腸上部に何か食物が到達すると,それが野菜でなくとも,肉や魚であっても,インクレチン[★]ホルモンが分泌され,このホルモンが膵臓に働きかけてインスリンの分泌を促進していることがわかりました.いろいろな食べ物と食べ順を変えてこれらのホルモンの分泌変化を調べて判明したものです.つまり,あらかじめ食べた 炭水化物以外のものが,インスリンの分泌を促進しておいたので,最後に食べた炭水化物による血糖値上昇を うまく抑制してくれたのです.
[★]インクレチンホルモン:グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1),グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)など
Carbo Lastで十分
したがって,重要なのは野菜ファースト(Vegetable First)なのではなくて,炭水化物が最後( Carbo Last)だというわけです.それさえ守れば何をどういう順番で食べても,結果は変わらないと報告されています.
日本糖尿病学会 第57回年次学術集会 番号 3-24-35
その点,丼物は都合よくできていますね. 上から食べていって,ご飯が見えたらそこでやめるか,血糖値上昇を覚悟して最後までかきこむかの選択をすればいいのですから.
ところが食べ順は関係ないという説も
と,ここまでは 話がよくつながっているのですが,最近【食べ順はあまり関係ない】というデータも出てきました.
[その3]に続く
コメント
自分はしばらく炭水化物ファーストでやってます。
なんかちょっと思うのは、血糖値スパイクってそんな悪いのかなってあたりです(´・ω・`)
そりゃもちろんスパイクしないに越したことはないんですけど。
インスリンを出させる&処理する練習するのに糖質ってとても適してるってのが自分の感想で。
まず、順番としてスパイクするけど血糖値落ち着く身体作り→スパイクもしない体づくりなんじゃないかなー、と思います。
糖尿病ビギナー(自分もまだその域ですが)がスパイクまで気にするのはちょっと欲張りさんなんじゃないかなって思うときがたまにあります。
血糖値スパイクは,まあ200前後までならともかく,それをはるかに超える値を食事のたびに発生させていたら,やはり有害だろうと思っています.
>インスリンを出させる&処理する練習するのに糖質ってとても適してる
これはインスリン分泌の引き金を引くトリガーレベルの敏感さではないのでしょうか.
私も時々経験するのですが,朝起きた時,今朝はちょっと血糖値が高いなという時に,朝食(せいぜい糖質10g以下なのに),食後1時間くらいすると,かえって食前よりも血糖値が下がっていることがあります.少し糖質が入って,かえって膵臓にキックスタータがかかったような雰囲気です.