厚労省が公開している 日本のレセプトデータ および 特定健診結果のデータ解析をしていると,いろいろなことが見えてきます.
特に,特定健診のデータ URLは,対象者 数千万人という膨大なデータなので,偶然には左右されない明確な傾向が読み取れます.
日本人と米国人との肥満分布の違いを見たのが前回記事でした.

HbA1c
そこで,糖尿病の人にとっては 最も身近で気になる指標である,HbA1cをみてみます.
2023年度に特定健診を受診した 男性 1,300万人,女性 1,150万人 合計 2,450万人の HbA1c実測値を集計したものです. 糖尿病患者のHbA1cのデータはよくみかけますが,このデータには 健常人も含まれています.もちろん糖尿病,高血圧,高脂血症などで,通院・投薬している人も含まれており,それらは区別されていません. ただし 何よりも 圧倒的に多数のデータなので,日本人全体の傾向がよく表れています.

このデータから,40-44,50-54,60-64,70-74歳の男性のデータだけを抜き出してグラフにするとこうなります.

40代では(そしてそれよりも若い人も多分),ほとんどの人は正常とされる HbA1c=5.6%未満ですが,年齢があがるにつれて,正常な人は減っていき,糖尿病と診断される人が増えていくことがわかります.70代になると,むしろ正常な人よりも,HbA1cが5.6%より高い人の方が多くなっています.
この傾向は女性においても同じです.

しかし,男性と比べると,女性は 相対的にHbA1cが上がりにくい,つまり男性よりは糖尿病になりにくいとは言えそうです.高齢化しても,同じ年代の男性と比べると 平均的には高HbA1cの人が少ないからです. ただ女性の場合,更年期の影響でしょうか,50代と60代の間で ガラリと傾向が変わります. 60代で既に HbA1cが5.6%を超える人が正常HbA1cの人よりも多くなっているのです.男性では これは70代ではじめてみられる現象でした.
この特定健診の結果を見ると,高齢化すると 耐糖能が弱ってHbA1cが高くなるのは,加齢に伴う自然な現象であると思えます. なので,これは糖尿病が発症したというよりも,大部分は むしろ Ahlqvist博士の説 にある MARD(Medium Age-Related Diabetes;加齢性軽度糖尿病)なのでしょう.
自然な加齢現象であるとすれば,多少HbA1cが上がったとしても その後の進行が遅いのも頷けます.

したがって日本糖尿病学会も,高齢者は無理やり正常範囲に抑え込む必要はなく,7%未満であればよしとしております.

NDBお料理教室 [完]

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