糖質制限11年目で耐糖能改善を確認

糖質制限食は11年目

糖質制限食も11年目にはいりました.
ただ私の場合は 糖質制限食と言っても,『1食当たりの糖質は絶対に 何グラム以下』と固定的に考えるのではなくて,『自分の耐糖能を明らかに越える量の糖質は摂らない』というものです.したがって,一律に糖質摂取量の上限を定めるのではなく,食事の内容により糖質40gでも余裕でOKの場合[※]もあれば,10gでも危ないことがある(例:ほぼ全量がデンプンの食品)という 柔軟な運用です.

[※] 糖質が多くても,脂質はもっと多い場合など. 詳細はブログ別館記事『脂質は食後血糖抑制剤』参照.

おおざっぱですが,平均すれば 1日の糖質摂取量は ほぼ100g程度と思われます.もちろん 日によって,すなわち食事内容によって,大きく変動しています.

さて,このような自己流の糖質制限食ですが,この10年で 耐糖能は 悪化しているのでしょうか? それとも改善しているのか.あるいはまったく変化していないのでしょうか?

これを判定するためには『ミニ糖負荷試験』 をやればいいのですが,

  • ミニ糖負荷試験を行うには,ブドウ糖錠剤の量を変えて 何度も測定する必要があります.しかしながら,現在は サラリーマン生活に臨時復帰中なのでその時間がとれません.
  • また純粋なブドウ糖摂取で血糖値上昇を測定しても,通常の食事とはあまりにも内容が違うのだから,普段の食生活における耐糖能を測定したと言えるのか,

という問題があります.

一定朝食での食後血糖値変化を観測

そこで考えてみました.

糖質制限食に切り替えてからしばらくしてからは,大豆(+ふすま)パンにより,朝食は ほぼ一定のレシピを食べるようになったので,朝食後の血糖値変化を見れば,現実的な食事での耐糖能変化がつかめるのではないか.

過去の膨大なデータを整理して,ほぼ同じようなレシピの朝食のデータだけを抜き出しました.

集計に含めたのは

【大豆(+ふすまパン)6枚切り1枚】+【チーズ 又は 目玉焼き】+【サラダ(キャベツ,レタス,トマト,キュウリなど)】+【紅茶】

の組み合わせの朝食です. 実際には チキンと組み合わせることもあるのですが,その場合は全体の脂質量がかなり少なくなるので除外しました. チーズやサラダの量には当然バラツキがありますが無視しています.なおサラダに少量の果物が加わる場合もありますが,その差も無視しました.

総計で糖質は10~15gくらいと推定されます.

この朝食前後の血糖値変化がこの通りです.

2011年は まだ糖質制限を開始する前のデータです.普通のパンのトーストが主体です.食後1時間の高い平均値もさることながら,そこから上下に伸びるヒゲ(標準偏差)がべらぼうに大きい,つまり非常にばらついていました. 数値で言えば,この頃の朝食後1時間 平均血糖値は 162±52だったのです.

糖質制限食に切り替えて,ほぼ一定の朝食メニュー(★)になった2014年に,目を惹くのは,朝食前血糖値,すなわち空腹時血糖値の大幅な改善です(109→98). また食後1時間値も 150±26[グラフにヒゲは表示していません]と,危険な状態を脱しました.

(★) ただし 最初の頃は 大豆・ふすま パンではなくて,大豆パンでしたが

更に2017年には大豆・ふすまパンのレシピになり,食後1時間値はさらに下がって 137±15になりました.ほぼ安全ラインです.

そして現在2021年の本日までのデータは;

  • 空腹時血糖値:94±6
  • 食後1時間値:121±10
  • 食後2時間値:102±7

にまで低下しています. これが糖質制限食でなかったら,完全に健常人の数値です.

以上の通り,ほぼ同じものを食べた結果なのに 食後血糖値は安定的に下がってきました.

ただこの記事で,『まだ有意差を持って低下したとまでは断言できない』と書いたのは,上のグラフの通り,2011年の上下に伸びる大きなヒゲと,2021年のヒゲとは一部重なっているからです. このヒゲの重なりがなくなれば,

糖質制限食により耐糖能は改善した

と統計的にも断言できるようになります.もちろん,もっとストイックなことをすれば(ex. 朝食では絶対に果物を食べない等) そうできるかもしれませんが,とりあえずはこのレベルで満足しております.

個人的には.食後血糖値の平均値の低下もさることながら,年を追って バラツキ(=標準偏差)が小さくなっており,『同じものを食べれば いつも同じような血糖値になる』,この安定性が健康保持にはいいのではないかと思っております.


なお,以上の通りなので,一部で吹聴されている『糖質制限食をすると耐糖能が悪化する』は,少なくとも 私にはあてはまりませんでした.

コメント

  1. Funa より:

    血糖値が下がったようでおめでとうございます。
    ただ多めの糖質を摂ると血糖値が上がることを考えると単純に改善したとは言い切れない。
    また一定量の糖質を毎日摂っているわけですので糖質制限で耐糖能が悪化する条件とも違うと思います。
    つまり摂っている量に身体がなじんたと言えるのではないでしょうか?
    身体が処理できる量以上に摂れば負担がかかり、少な過ぎれば能力が衰えていく。
    負担をかからないように一定量を摂っていればその状態に身体がなじみ、少しづつ増やせるなら時間がかかるけど改善していくのではないのでしょうか?
    もちろん人それぞれで差があるわけですので改善する人もいれば、老化などで徐々に能力が下がる人もいるでしょう。
    2型と一括りにせず細かく分類するように、耐糖能の悪化/改善も分類できれば治療に役に立つと思います。
    私は血糖値が上がらないように、でもそれなりに糖質を摂るようにしています。
    (各食事で50g以上、1日で180g以上を目標)

    • しらねのぞるば より:

      実はこのデータは,朝食だけでなく昼食・夕食についてもまとめてみようとしたのですが,それらの場合は(特に昼食は)もう糖質量が日々バラバラなので,解析不能でした.

      ただ 同じものを食べた場合に 食後血糖値が上がらなくなった,つまり 平均値が下がったこともさることながら,そのバラツキ=標準偏差が小さくなったことの方がうれしいですね.代謝が安定しているということですから.

      >少しづつ増やせるなら

      私は 糖質は必須栄養素とは考えていませんので,今後 敢えて糖質を増やしていこうとは思っておりません. ただし今以上に減らす必要もないと思っています.ある程度の量を摂っているのは,調味料や揚げ物の衣にまで神経質になっていないからです.
      お好み焼きは,小麦粉ではなくて 高野豆腐パウダーで作りますが,しかし おたふくソースは どっぷりとかけておりますw

      https://ameblo.jp/shiranenozorba/entry-12687656603.html

  2. かかか より:

    賛否両論ですね。
    糖質制限と一括りに言っても、個人によって必要量は違いますし、そもそも食べる量も様々。体が大きく力仕事の人と、細く運動量も少ない高齢者では随分と差があります。
    エネルギー源として糖は必要だと思いますが、いくらかの制限をして、代わりに何を食べるかで、体の中はかなり個人差ができそうです。腸内環境、肝臓の能力、血液の状態など。簡単な血液検査では分からないこともありますしね。

    • しらねのぞるば より:

      >糖質制限と一括りに言っても、個人によって必要量は違います

      はい,糖質に限らず,脂質,蛋白質もその種類も含めて,個人の体質に合った最適量があるのだと思っています.

      私は,糖質は少なめで,脂質(特に乳脂肪),大豆性蛋白質が多い食事がマッチしているようです.

      朝は 大豆・ふすまパン,昼食はバラバラ,夕食は 魚が主体と,いろいろと試行錯誤して現在の食構成に落ち着いてきました.これが私にとっての『バランスのとれた食事』なのでしょうね.