韓国の 南原市研究から,肝機能指標(ALT,AST,GGT)の高低と,約4年間の追跡期間中糖尿病発症率との関連を調べた結果です.
ここまでの記事([7],[8],[9])で,男性の場合では,ALTの高値のみが糖尿病発症に関連していることがわかりました.
しかし,女性の場合は 少し結果が違いました. 男性/女性を対比させて 以下に示します.
GGT
男性の場合には有意なオッズ上昇はありませんでした(=グラフがすべて青い棒).一方 女性の場合には最高値グループ(Q4)で上昇していました(=グラフの赤い棒).
ALT
男性ではQ3,Q4(=GGTが21以上)で糖尿病発症 オッズが有意に高くなることが見出されました.一方 女性では 最高値グループ(=Q4;ALTが22以上)のみオッズが上昇していました.
AST
ASTの値は,男女とも 糖尿病発症率との有意なオッズ上昇はみられませんでした.
以上が韓国 南原市研究の概要でした.久山町研究よりも対象人数が多いので(久山町=1,804人;南原市=6,926人),より精密な検討が可能でした.
但し,南原市研究の弱点は 追跡期間が久山町の 平均9年間に対して, 約4年と短いことです.すなわち もう数年長く追跡を続ければ,この結論は幾分変わるかもしれません.また南原市研究の追跡率は久山町研究ほど高くありません. つまりデータの取りこぼしが多いのです(これは対象者が大人数になればなるほどそうなります).追跡が途絶えた人が糖尿病を発症したかどうかは,当然不明です.
そこで南原市で更に追跡を継続しているのかどうか,後続の論文を探しましたが,残念ながら見つけられませんでした.
[11]に続く
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