糖尿病あるいはその手前の境界型の人にとっては,カレーライスは悪魔の誘惑です. 何ということはないカレーライスを1皿食べただけなのに,食後に血糖値は急上昇,しかもなかなか下がらない. 何とかこれを避ける方法はないものでしょうか.
徳島大学 黒田先生の『糖質法則』
自らも1型糖尿病(罹患歴36年)である 徳島大学 先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発領域 黒田暁生 准教授は,カーボカウント法による血糖値コントロールの第一人者であり,糖尿病学会が発行するカーボカウントの手引きなどの執筆者です.
黒田先生は,食事に含まれる糖質量を簡単に判定するユニークでわかりやすい指導を行っています.
これでおおむね当たっているのだから,細かいことを気にするより,その場の暗算ですぐに出せるほうがよい,という考えです.
しかし,カレーだけは計算が合わない
黒田先生は,ご自分の長い糖尿病履歴から,食事の糖質量とインスリン量とをバランスさせるカーボカウント法を芸術的にまで高めてきた方ですが,その黒田先生ですら,カレーの糖質量と必要なインスリンはどうにもバランスせずに苦労しておられるようです.
『カレーライスだけは,いくら正確に糖質量を測定しても,それに見合うインスリン量では,どうしても血糖値が高くなってしまう. 実際の糖質量の1.5倍に相当する追加インスリンを打たないと食後高血糖を抑えきれない.さらに加えて食後に基礎インスリンの1.2倍の追加打ちも必要となる. なぜそうなるのかは私にもわからない 』
[第61回 日本糖尿病学会 シンポジウム 31-6; 2018年]
と嘆いておられます
ことほどさように,カレーは,糖質量の割には なぜか血糖値が上がり,そして下がらないのです.
この原因について,私自身は カレーの香辛料がグルカゴンの分泌も促進し,[食事からの糖質]+[グルカゴンによる肝臓からの糖放出]の合わせ技ではないかと思っているのですが,この点はまだ解明されていないようです.
[2]に続く
コメント
カレー、恐るべしです!
私も高血糖気味ですが、ご飯100gの自家製カレーを食べて測ってみた事があります。ちなみに、市販のルーは殆ど使わず、じゃがいもも少なく作りました。
なんと2時間後221‼️野菜サラダも先食べし、グァバ茶を飲んだにも関わらず!
そんな私ですが、負荷試験では30分後の112が最高。しかしインスリンは60分後の30.7が最高。そうなんです、ブドウ糖に対してはすこぶる反応し、少ないインスリンで効率良く働くのですが、炭水化物となると…
なるほど. グルコース感受性がいい人でも,カレーは強力に血糖値を上げるのですね.文献など見ると,スパイスは一般に耐糖能を良くするという報告が多いのですが,『日本のカレーライス』で調べたものは皆無です.
インドカレーは上がりにくかったです。
日本のカレーライスがそんなに上がるのは不思議ですね。
はい,スパイスと玉ねぎ主体で,小麦粉を使わない本格的なカレーは,私も食後血糖値は上がりません.
しかし,ルウを使ったカレーや,本格カレーでも炭水化物と一緒に食べると,爆上がりです.
何としてでも この謎を解明したいと思っております.