ご当地 糖尿病治療事情【3】

前回は,患者一人当たりの各県の糖尿病内服薬の年間処方錠剤数を比較しました.

この内服薬錠剤の内訳を表示すると下の通りです.

薬を多く出す県,あまり出さない県という違いはありますが,その内訳をみると,どの県でもビグアナイド(=ほぼすべてがメトホルミン)と DPP4阻害剤(各社から種々の製品が出ています)とが,それぞれ30%強であり,この2種の薬だけで全体の7割近くになっています.

金額ベースで見ると

しかし,以上は錠剤の個数ベースでの集計です. メトホルミンは1錠9.9円と非常に安い薬ですが,DPP4阻害剤は,安いものでも 50円/錠,高いものでは(配合錠) 250円/錠を越えます. またこのデータの集計時点(2016年4月~2017年3月)では まだあまり使われていなかった SGLT2阻害薬も 200円/錠 以上ですから,金額ベースで見ると様相は まったく変わります.

数量では3割以上を占めていたメトホルミン(ビグアナイド)は,グラフのどこにあるのかわからなくなってしまいました.同じく数量では3割だったDPP4阻害剤は,金額では7割近くを占めています. また数量ベースではほとんど目立たなかった SGLT2阻害薬(棒グラフの右端)も金額では1割を閉めます. この年の 糖尿病内服薬の全国合計は3,000億円ほどでしたが,その8割はこの2種の薬の代金だったのです.しかも今後もこの2種は増えていくでしょう.

多い県では,一人の糖尿病患者の薬代は年間 13万円ほどでした.もちろん保険診療であれば,この1~3割ほどが本人負担ですから,あまり実感は湧かないかもしれません. ただ現在では SGLT2阻害薬の割合はもっと増えているはずですから,薬代もその分 膨らんでいるでしょう.

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