前の記事と似たタイトルにできたから,というだけの記事です.定説に挑戦するのが,『暴言ブログ』の使命です.
糖尿病の人は,あるいは糖尿病を予防するためには,白米より玄米を食べましょう,とはどこにでも書かれています.しかし;
『玄米は血糖値を上げない』 本当?
食べ順食事法の効果って?[その3] の結論にも書きました通り,
食後血糖値をコントロールするには,食物がじわじわとゆっくり消化器官に流れ込んでいくような食べ方 and/or 食べ物を選択する
が正しいと思っております.
つまり,できるだけ消化・吸収速度の小さい食物を,時間をかけてゆっくり食べれば,食後血糖値は緩やかにできる,という考えです.
では 玄米と白米とでは?
もちろん,白米よりは食物繊維などが多い玄米の方が『血糖値を上げにくい』,これはその通りでしょう.
では,この図をご覧ください.
グラフのラベルは間違いではありません.血糖ピークの高い方が玄米で,低い方が白米です.糖質量はどちらも50gにそろえてあります.
なぜ,こうなったのでしょうか?
試験方法
この試験は,純粋に玄米・白米だけを比較するために,それらを単体で食べてみました. ただし;
- 糖質量は50gでそろえています.
- 米以外の食材は使いませんが,『ダシ茶漬け』にして食べています.このためだけに日本橋で調達した上等の土佐鰹節でダシをとりました.
- 両者の栄養成分を比較すると,糖質量は同じですが,玄米の方が多少脂質・蛋白質が多くなります.なお,ダシの成分は無視しています.
茶漬けにした理由
事前にいろいろ考えたのですが,米だけを短時間に食べる方法が茶漬けだったからです.玄米と白米とではどうしても固めの玄米の方が噛む回数が多くなります. それをそろえるためにも茶漬けにしました.これなら急速に流し込めますし,噛む速度の差も生じません. また非常にゆっくり食べることはもちろん可能です.
おわかりでしょうか?
玄米茶漬けは威勢よくかっこんだのです(3分40秒でした)
それに対して,白米茶漬けは小説を読みながら,ティースプーンで一口ずつダラダラと20分かけて食べました(およそ茶漬けの食べ方ではありません.奥さんは呆れてました).
その結果が上のグラフです. 玄米だろうが何だろうが,食事にかける時間の方が決定的だということを示すためだけの実験でした. おかげで血糖値200越えを久々にやる羽目になりました. でも贅沢なダシを使った甲斐はあり,どちらもおいしかったです. ただ2度とやりません.
更に脂質と蛋白質が共存すると
ここまで来たら行きがけの駄賃,すぱ郎さん の向こうを張って,更に白米に モッツァレラチーズ,卵もぶち込んで,リゾット風にしたものを作りました. もう上等の鰹節もわやくちゃ[注:上方言葉だす]です. その結果がこちら.
同じ 糖質50gでも喫食時間と,共存する脂質・蛋白質でこれほど変わるのです. 玄米だから無条件に良いと決めつけるのは間違っています.
しかし,私が学会のパンフを信じて忠実にカロリー制限食をやっていた頃,栄養指導をしてくれた管理栄養士さん,その後お元気ですか? 『揚げ物は毒です. バランスのよい食事,つまり野菜と魚と玄米の食事にしてください.』という言葉に,私が『それでアミノ酸バランスは取れているのですか?』と茶々を入れたら,世にも恐ろしい形相でにらんだあの目つきは一生忘れませんよ.
コメント
シリーズを興味深く拝見しています。
管理栄養士の「玄米は血糖値を上げません」というのを善意で解釈するとすれば、
白米は軟らかいので噛まずに早食いしてしまいがちだが、
玄米はどうしても噛んで食べるようになる、
その上、食物繊維も多いので血糖値を上げにくい、
ということなのでしょうね。
わたしがおこなった血糖値測定テストではもち麦が優秀食材でした。
玄米との比較はしていないけれど、
米より麦の方が血糖値にはよさそうな気がします。
さすがに若い管理栄養士の人は,栄養学を科学として学んでいるのですが,ご年配の方の中には,
– 脳はブドウ糖しか使えません
– 糖質を摂らないと,脳にブドウ糖がいかなくなります.
自治体主催の健康教室で,堂々とこう教える管理栄養士がいたのでビックリしたことがあります.それが本当なら2,3日絶食したら,人は意識を失うはずなんですがね. 「肝臓の糖新生で補給されるから大丈夫なんじゃないですか?」と質問したら,黙り込んでしまったので知らなかったようです.
日本の管理栄養士は,米国の登録栄養士 RD = Registered Dietitian をお手本に作られたのですが,米国のRDは常に最新科学知見でUpadteしていることを証明しないと資格を失うのに対して,日本では名称独占資格(*)なので,一度だけ国家試験に合格すれば終身資格であり,新しいことを覚える必要がないからでしょうね.
(*) 医師,看護師・薬剤師は 業務独占資格なので,いわゆる先生資格である『師』ですが,管理栄養士は 侍資格の「士」です.数年前に 日本病態栄養学会が,管理栄養士でも,特定の試験に合格した人は 『~病態専門管理栄養【師】』という名称を与えようとしたら,厚労省から却下されてましたね.
また,『揚げ物・肉は悪,野菜・魚・玄米は善』という言い方も,素人にわかりやすく理解させようというつもりなのでしょうが,すべての食物は善と悪に分類されるという,まるでゾロアスター教のような二元論を吹き込んでいるようなものです.
そういえば,『DiHyrdogen MonoOxideという化学物質』というJokeも,化学合成品はすべて毒と信じている人をからかうためでしたね.
DHMOジョーク、こういうの本当に好きです。
でも、うっかりすると自分も担がれそうで怖い…(苦笑)
先のコメントで書き忘れていました。
米(玄米含む)粒って、ほとんど咀嚼しなくても素早く消化吸収されるんですね。
前に「よく咀嚼すれば米粒が小さく噛みつぶされて、さらに唾液アミラーゼによってでんぷんが分解されてしまうから、むしろ噛まずに流し込んだ方が血糖値を上げないのでは?」とコメントしたけれど、すでに実験されていたとは(笑)
でも、じゃあ、一部で言われている、「タンパク質と違って炭水化物は胃で消化されないから何時間も留まっていて消化が悪い」というのはどういうことなんでしょう?
> むしろ噛まずに流し込んだ方が血糖値を上げないのでは?
はい,その点は あんな実験とはいえ,結構まじめに考えました. ですので,茶漬けにして流し込んでしまえ,となったわけです.
本当はControlで 白米でも3分40秒の茶漬けをやる予定だったのですが,玄米での数値をみておそろしくなったのでやめました.
私は玄米なら良いと思い込み、若い頃から玄米食を続けていて結局糖尿病を防げませんでした。当時1度でも血糖測定をしていれば…と悔やまれます。
しかし、痛いところを突かれてにらみつける管理栄養士さんは怖いですね。。。
おはようございます.
玄米自体は悪いものではなく,白米よりはずっといいと思っております.
ただ世の中には,多分商売目的で 玄米ならパーフェクトという人をからかってみたくなり,この実験をしました.
今回の学会にも医師だけでなく,管理栄養士さんも多数参加されていました. しかし管理栄養士って食品交換表に対する考えで二極分化していますね.信じている人は,何をどうつつかれてもビクともしません.
他の方のブログで白米より玄米のほうが血糖値があがるという結果がでていたので、本当かと思い他の方の情報を探してこのブログにたどり着きました。
この実験では食べる時間が違うんですね。
焦りましたが、書いておられるようにコントロールもやってほしかったです。
はい,同じ時間であれば 玄米は白米より血糖値は上がりにくいことは自明のこととして,
『もちろん,白米よりは食物繊維などが多い玄米の方が『血糖値を上げにくい』,これはその通りでしょう.』
と 記事中にも記載しております.
ただ この実験を行った理由は『玄米であれば善 白米は悪』と単純に決めつけるのは,それも広い意味のフードファディズムであろうという考えからでした.
『糖尿病でも,玄米さえ食べていれば安心』と思ってしまう人が出かねないからです.
GI信仰についても,同様の記事を書いております.こちらは 私の実験ではなく学会発表データを元にしております.
https://shiranenozorba.com/2019_06_30_believe-in-low-gi2/
また,なぜこのような記事ばかりを書き連ねているかについては,この記事もお読みいただければ幸いです.
https://shiranenozorba.com/2020_03_06_1st-anniversary-of-blog/