第64回日本糖尿病学会の感想[11] 糖質当てクイズ

糖質の塊

今回の 学会 一般口演で,姫路市の 糖尿病内科 たかべクリニック からの報告がありました.

このクリニックに通院している糖尿病患者 586人(1型:59人 2型:474人)に,クイズを出しています.

炭水化物を多く含む食品(パン,うどん,せんべい,じゃがいも等)と,ほとんど含まない食品(バター,卵,焼酎,豚肉 等)をあげて,『血糖値が上がりそうな食品』を選んでもらうクイズです.

その結果は予想通りですが,1型の人は ほぼすべての食品に90%以上の正答率でした. 唯一正答率が低かったのは『牛乳』(炭水化物が多いと答えた人は 47%だけ)のみでした.1型の人は,摂取糖質量とボーラスインスリン単位との関係をよくわかっていますから,当然ですね.

一方,2型糖尿病の人は,全般に正答率が低く,特に『バター』の炭水化物が多いと答えた人がほぼ半数(48%)もいました. 糖質の多寡とカロリーの高低がごっちゃになっているのでしょう.もっとも 教えた方もそう信じていたのかもしれませんが.

また,正答率の高低とHbA1cとの関係を見ると,正答率の低いグループは 平均HbA1c=6.8%以上,正答率の高いグループは 平均HbA1c~6.65% で有意差がありました.食品の炭水化物量の見分けがつかないのであれば,そうなるのは頷けます.

なお,発表の中で,炭水化物接種量とHbA1cに関係ないという報文があることも引用していました.

『糖尿病外来における2型糖尿病患者の炭水化物摂取状況の実態調査』糖尿病 Vol.60(8) 522

この報文では,普段の食事で,炭水化物比率50%未満の人と,60%を越える人とでは,HbA1cに有意差がなかったとしています.だから,食品交換表で炭水化物比率を50~60%と指定していることに問題はないという主張です.しかし,高糖質群では HDLが低く,中性脂肪が高かったのに,それについてはまったく言及していません.

[12]に続く

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