昨年9月に日本糖尿病学会が発表した『糖尿病診療ガイドライン 2019』は,それまでの『糖尿病患者の食事療法は,病態・年齢・性別にかかわらず,すべて一律に同じもの』という頑なな姿勢を転換したものでした.
しかし,それ以来 もう1年以上が経過しています. この新ガイドライン(以下 GL-2019)以降の,学会の動きをまとめると下記の通りです.
GL-2019では,『食事療法の個別化』を高らかに宣言したのですが,では その個別化をどう具体化していくのか,そもそも『個別化』とは何を意味しているのかはいまだ不明です.
また,上表の通り,医師向けの資料では『炭水化物比率は 40~60%』と書きながら,患者向けのパンフでは 相変わらず『炭水化物比率は 50~60%』とするなど,矛盾も目立ちます.
つまり,方針転換というハンドルを切って ウインカーは出したものの,ただそれだけで一向に動く気配がうかがえないのです.
学会は 何を考え どうしようとしているのでしょうか.
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コメント
>学会は 何を考え どうしようとしているのでしょうか
そもそも医師と言うものは、記憶する事が能力の大半を占めているように思います。
医学部受験に始まって、医師免許を取るまで、膨大な記憶によるところが大きいのではないでしょうか。
要するに、判断力よりも記憶力を求められている職業のように思えます。
判断力はなくても得意な記憶力で記憶したガイドラインに従えば医師としての問題は発生しないわけで、考える能力を身に着ける機会があるように思えません。<みんなとは言いませんが。
医師と言う職業はそういうものだと思えば、残念ながら『個別化』にはなかなか到達しそうもありません。『個別化』には、判断力が求められますから。
通常のクリニックや総合病院の糖尿病専門医ってどれくらい「(医師自身で)判断」を下しているのでしょう。
知識や患者への指導のレベルを小学校から大学の研究レベルに例えるなら、私の主治医を見ている限り、小学校レベルと言わざるを得ません。
そんな難しい事を言っても患者の方も聞かないかもしれませんが(小学校レベルですら守れない、理解できていない患者も多いですから)。
暴言失礼しましたw
職業的対人関係の影響も大きいと思っています.
リタイアしてみて つくづく感じるのですが,サラリーマン生活であれば,企業規模・業種・職種にかかわらず,ほとんど同質の人とのみの対人関係であったと思います.
『この人は価値観・思考パターンがかなり違うな』と感じたのは,せいぜいお役所の人と話す時ぐらいでした.それでも対話が成り立たないほどではない.
一方 医師はといえば,来院した患者である以上は 大学教授から 認知症のお爺ちゃんまで,誰であっても拒否できません.いわば 成層圏飛行のジェット戦闘機から,地上スレスレのアクロバット競技用プロペラ機まで,すべて操縦しろと言われたようなもの.全員に一律同じ対応は不可能ですし,相手に合わせると言っても,あまりにも違いすぎます.
>通常のクリニックや総合病院の糖尿病専門医ってどれくらい「(医師自身で)判断」を
想像ですが,いくつか 対応パターンを用意しておいて,そのどれかを当てはめるという対処法ではないのかなと思います.
西村様や私は『小うるさい患者 C-3型』と分類されているのかもw
>得意な記憶力で記憶したガイドラインに従えば
なので,学会の定めるガイドラインの影響は非常に大きいと思っています.何と言われようと,ガイドライン通りの治療を守っていれば,リスクはないのですから.
『私は 学会ガイドラインは無視している.自分の考え通りに診療する』と豪語する医師ですら,学会に参加しています. そういう先生が,講演後の質問の形を借りて,持論を滔々と述べたりするのですが,それを聞いていると『なるほど ガイドラインはやっぱりあった方がいいかな. まだその方がマシかも』と感じることもあります.