スタチンといえば,普段あまり 薬に関心のない人でも名前は聞いたことがあるでしょう. 会社の特定健診でメタボ宣告されて病院に行くと,医師は なぜか腹回りをジロリと一瞥して「悪玉コレステロールが高いですね.中性脂肪も高すぎます. 今はいい薬があるので...」とこうきます.
厚労省のNDB オープンデータ には,「高脂血症治療薬」に分類されたレセプトデータもまとめられています. 2023年度の投薬実実績は この通りでした.

2023年度には,全国で64億9千万錠の薬が処方されたようです. スタチンには初期に登場したメバロチンなどのソフトスタチンと,その後更にコレステロール低下能力を強化したストロングスタチン(ロスバスタチン=クレストールなど)とがありますが,これらを合わせて全体の76%がスタチンでした.
またスタチン/エゼチミブ/フィブラートは コレステロール低下薬の御三家ですが,これら3薬だけで,全体の96%を占めています. しかも単体で投与するだけでは飽き足らず,ストロングスタチンとエゼチミブの両方を配合した薬まで使われています. 何が何でもLDLを下げてやるという意気込みを感じますね.
ただし,スタチンとフィブラートとの配合剤はありません. これは この組み合わせでは 深刻な副作用(横紋筋融解症)発生のリスクが高くなるからです.なので この組み合わせは「治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること」と添付文書にも書かれています.
この膨大な量の薬は どれくらいの人が服用しているのでしょうか? 年間64億9千万錠を一日当たりにすると;
年間64億9千万錠 ÷ 365日 = 1,779万錠/日
2023年の40歳以上の推計人口は 約 7,140万人 なので 平均的にはおおよそ4人に1人が毎日 LDL低下薬をのんでいる計算になります.
国民健康・栄養調査 によると,

40~74歳の男性の5割,女性の2割がメタボと指摘されていますから,この年代では 男女合わせて2,100万人がメタボを指摘されているとして,上記の 1,779万錠/日という投薬量とだいたい符合します. ただし 75歳以上では おそらくかなりの人は もっと高い比率ではないでしょうか.
前回記事で,
70代以上の男性で 不自然にLDLが「正常」な人が多いが,おそらくこれはスタチン投与の結果だと思われる.
と書きましたが,ほぼ当たっていると思います.


コメント
初めてコメントさせていただきます。いつもいろいろ参考にさせていただいており、お世話になります。
76歳、女性です。LDLコレステロールについては以前から検診のたびに、高いから(170~180)服薬するように勧められていました。HDLコレステロールが高値で中性脂肪が低値なら、LDLコレステロールが多少高値でも大丈夫と思っていましたが、糖質制限も徹底できず、ダイエットも進まず、今年3月の検診にも引っかかり、ついに4月からロスバスタチン錠2.5㎎を毎日1錠飲み始めました。1か月飲んだ結果、192→97に半減しました。ちなみにHbA1cは5.8で、予備軍とされています。今回の記事は、まさに納得しました。糖質制限とダイエットに励みたいと思います。
>HDLコレステロールが高値で中性脂肪が低値なら、LDLコレステロールが多少高値でも大丈夫
私もその考えなのですが,ただあまりにもLDLが高ければスタチンはありと思っています.
>1か月飲んだ結果、192→97
したがって,高すぎるLDLをこのレベルに抑え込む程度であれば,適量投与と思います. ただ闇雲に更に下げる必要はないと思っております.
ご意見ありがとうございます。いつまで飲むのか?飲み続けるのか?・・・と思っていたので参考にさせていただきます。ご意見を頂けるのはうれしい限りです。様々な情報も楽しく読ませていただいています。今後ともよろしくお願いいたします。