管理栄養士の学会

日本病態栄養学会 とは,主として管理栄養士や専門医(病態栄養専門医)が加入している学会です.臨床栄養学に関する学術情報を研究・普及させることを目的としています.

日本病態栄養学会とは

この学会が年に1回の学術集会を京都/国際会館で開催しています. 開催期間は 昨日から 明日の2/1まで.

開催中に行われるシンポジウム・講演・症例発表などの抄録集[PDF] もすでに公開されていて,誰でも閲覧できます.

日本糖尿病学会が糖質制限食を『祈祷まがいの民間療法だ』と激しく攻撃していた2012年に,あえて『糖尿病治療に低炭水化物食は是か?非か?』のディベートを開催する という気骨を示した学会でもあります.

しかしそれから14年たった現在,日本糖尿病学会も この学会も 糖尿病の食事療法については ほとんど情報を発信しなくなりました. 昨年の学会は あまりにも聴きたい講演がないので,参加自体を見送ったほどです. 本年も その状況は変わらないのですが,ただ 一つだけ興味を惹かれるテーマがあります.

日本病態栄養学会 第29回 学術集会

病院で提供される「治療食」,いわゆる「病院メシ」に関して3つの学会合同による総合討論です.実際 病院食については,厚労省の規定は 大昔から変わっておらず,時代遅れになっていると 当事者は実感しているようですね.

そもそも病院食とは

厚労省の診療報酬規程を見ると,「病院食」という言葉はありません,あるのは「特別食」「治療食」という言葉です.そして「特別食」「治療食」は,こう定義されています.

3 特別食加算
(1) 特別食加算は、入院時食事療養(Ⅰ)又は入院時生活療養(Ⅰ)の届出を行った保険 医療機関において、患者の病状等に対応して医師の発行する食事箋に基づき、「入院時食事療養及び入院時生活療養の食事の提供たる療養の基準等」(平成6年厚生 省告示第238号)の第2号に示された特別食が提供された場合に、1食単位で1日 3食を限度として算定する。ただし、流動食(市販されているものに限る。)のみ を経管栄養法により提供したときは、算定しない。なお、当該加算を行う場合は、 特別食の献立表が作成されている必要がある。令和2年3月5日 保医発0305第14号 3の(1)

(3) 治療食とは、腎臓食、肝臓食、糖尿食、胃潰瘍食、貧血食、膵臓食、脂質異常症 食、痛風食、てんかん食、フェニールケトン尿症食、楓糖尿症食、ホモシスチン尿 症食、ガラクトース血症食及び治療乳をいうが、胃潰瘍食については流動食を除く ものである。また治療乳とは、いわゆる乳児栄養障害(離乳を終らない者の栄養障 害)に対する直接調製する治療乳をいい、治療乳既製品(プレミルク等)を用いる 場合及び添加含水炭素の選定使用等は含まない。
ここでは努めて一般的な名称を用いたが、各医療機関での呼称が異なっていても その実質内容が告示したものと同等である場合は加算の対象となる。ただし、混乱を避けるため、できる限り告示の名称を用いることが望ましい。 令和2年3月5日 保医発0305第14号 3の(3)

この通りなので,いわゆる糖尿病食はここで定義されているのですね.

なお,「楓糖尿症食」という聞きなれない言葉がありますが,これは糖尿病ではなくて,メープルシロップ尿症(Maple Syrup Urine Disease; MSUD)とも呼ばれる遺伝子異常疾患で,先天的にα-ケト酸を代謝できないという疾患です. いわゆるBCAA(分枝鎖アミノ酸)である,ロイシン,イソロシン,バリンが,必須アミノ酸であるにもかかわらず うまく代謝できません. 分枝鎖アミノ酸の代謝中間物であるα-ケト酸が体内に蓄積され,そのため 尿や汗に特有の甘い(つまりメープルシロップと同じ)香りがします. したがって,楓糖尿症には 蛋白質の量と成分とを厳密に管理して調製した食事が必須のようです.

ところが,普通の「糖尿病食」については,厚労省は その内容については 何も定めておりません.つまり医師が「これは糖尿病によいのだ」と思って 患者専用に食事箋を出して指示すれば,それが「糖尿病用に治療食を提供した」として,診療報酬に加算されます.そしてご存じの通り,日本の病院では ほぼ100%,食品交換表に準拠した炭水化物60%の「糖尿病食」が 今日も患者に出されているのでしょう.日本糖尿病学会が『糖尿病の食事療法は個別化されるべき』としているにもかかわらず,です.

このあたりのところを臨床栄養の専門家は どう考えているのか,聴いてみる価値のあるシンポジウムでしょう.

ただし,これ以外には糖尿病食事療法についての講演はほとんどありません.
わずかにこの3本でしょうか.

日本病態栄養学会 第29回 学術集会
日本病態栄養学会 第29回 学術集会
日本病態栄養学会 第29回 学術集会

それでも,昨年の1本だけよりは多いので,今回は参加します. ただし現地参加ではなく,オンラインで.

   

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