ついに日本糖尿病学会も

私がこの本館ブログ を始めた時,大きな関心事が二つありました.

【食事療法】

一つは,当時 日本糖尿学会が推奨していた糖尿病患者のための食事療法(=食品交換表)は,本当にこれでいいのかという問題でした.
なぜなら 食品交換表を忠実に守った食事を続けたら,私の糖尿病はみるみる悪化していったからです.

【2型糖尿病は存在しない】

そしてもう一つの関心事は,学会が一般内科医向けに発行している『糖尿病治療ガイド』には『糖尿病は 過食と運動不足による肥満が原因』と断定していますが,それなら過食でも肥満でもなかった ぞるばはなぜ糖尿病を発症したのか,という疑問です. 実際 私だけではなく,日本の糖尿病患者の半分は肥満ではありません

そこで,注目したのが ブログ初期のこの記事にも書いた Ahlqvist説でした.

2型糖尿病と一括して呼ぶのは間違っており,実は相互に異なる 何種類もの『2型糖尿病』が存在している,という説です.
2018年の Ahlqvist博士の報告を最初に読んだ時,これは糖尿病医学分野における重要な一里塚(MileStone)になるだろうと予感しました.

この説では,私が漠然と感じていた通り,肥満タイプの糖尿病と痩せ型の糖尿病とは,まったく別の病気であるとしていたからです.

このAhlqvist説は 欧米では次第に有力になってきており,最近 欧州の国際研究機関による大規模調査でも確認されました

さらに この調査では,糖尿病であっても 例外的に合併症を起こしにくい MDH(Mild Diabetes with High HDL;高HDL 軽度糖尿病)というタイプすら存在することが見出されています.

しかし,日本では このような説は長らく無視されてきました. わずかに 福島県立医大の島袋教授が,Ahlqvist説に基づいて 日本の糖尿病患者にも複数のタイプ(SubGroup)が存在することを報告しています.

Tanabe 2020

2型糖尿病の成因について,日本糖尿病学会の従来の公式見解は;

これだけです. おおまかに2種類あるということですね. しかしこの表現は,20年間以上 ずっと変わっていません.

さすがにこれでいいのか という声が学会内でも上がったのでしょうか,やっと Ahlqvist分類に基づいて 日本人の糖尿病病態類型を本格的に調査する気になったようです.

(C) 日本糖尿病学会

調査は 島袋教授がリーダーとなって,おそらく J-DREAMS などに蓄積されているデータを解析するのでしょう. 結果がまとまるのは 2030年頃でしょうか. ただ途中であっても 中間報告でも出してほしいところですね.またRHAPSODYと同様に,HDLも分類キーに含めてほしいところです.

コメント