[運命の対決]グルカゴン 対 グルカン[1]

グルカゴンGlucagonとグルカンGlucan, 日本語でも英語でもまぎらわしい この名前のよく似た2つは,糖尿病患者にはそれぞれ悪と正義の代表取締役のように思われています.

(C) 桜餅 さん

「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」という言葉に代表されるように,古代ペルシャのゾロアスター教の時代から,人は すべてを 善と悪に二分して考えるのが大好きです. 深く悩まずにそう単純化してしまったほうが楽だからです.善にして至高の神=β-グルカンさえあれば,糖尿病にならない,糖尿病を治せるとまで言い出す人が出てくるに及んでは捨て置けないので,正義と悪の対決試合を企画しました.

グルカゴンとは

アミノ酸が29個つながったペプチドの一種です. かつては,インスリンで血糖値が下がりすぎないようにするための,単につり合いをとるためだけのホルモンと思われていましたが,近年は人体の全身で重要な役割を果たしていると見直されています.詳しくは下記総説の Fig.7 をご覧ください.

The New Biology and Pharmacology of Glucagon

グルカンとは

β-グルカンとは,今はやりの「もち麦」に多く含まれる多糖類です.βがあるからには,αもあるわけで,α-グルカンは 一時(今でも) 『神食材』として話題になったマイタケに含まれています.
実はグルカンもブドウ糖なのです.ただし ブドウ糖単体ではなくてブドウ糖がズラリとつながったものです.
しかも,デンプンもグルカンもそしてセルロースまでも,すべてブドウ糖がつながったものです.

まるでレゴブロックのように,同じパーツから組み立て方次第でこんなにも違う作用を持つものができています.
最近の大麦/もち麦ブームで,大麦のβ-グルカンばかりが注目されていますが,実は小麦,海藻やキノコ類にもβ-グルカンは含まれています(*).

(*) ただし 大麦グルカンとはブドウ糖同士の手のつなぎ方が違います.

[2]に続く

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