本当の平均血糖値と比較した
正常人,および1型/2型糖尿病の人,合計507人について,3か月間にわたりCGMで血糖値を測定し,推定値ではなく『本当の平均血糖値』を算出して,3か月の最後の日に測定したHbA1cと比較してみた結果が報告されています.
横軸は被験者のHbA1c実測値,縦軸は 被験者全員の【本当の平均血糖値】をCGM記録値から計算した結果です. また 青い直線は 通常HbA1cを平均血糖値に『換算』する時に使われる式です. たしかにほとんどの点は,直線に近いところに集まってはいます.ですが,本当にピタリ直線の上に乗っているものはわずかです.
HbA1cが同じでも
この図は HbA1cが 7.0±0.2%の範囲にある点だけを示したものです.HbA1cが7%であっても,平均血糖値は 200から130まで広く分布しています.
平均血糖値が同じでも
この図は 平均血糖値が150±10の範囲にある点だけを示したものです.HbA1cは 5.4%から8.3%までやはり広く分布しています.
つまり HbA1cは平均血糖値そのものではなく,単なる目安にすぎないのです.たしかにHbA1cの数値が高ければ,過去に高血糖の期間が存在したことの反映にはなりますが,しかし平均血糖値を正確に算出できるほどの精度はありません.よくHbA1cの数値から,「平均血糖値」を計算できるとして, この式が引用されますが.
平均血糖値 = 28.7 × HbA1c - 46.7
ここで算出される数値は,
【多くの人の平均血糖値の平均値】
を表しますが,それは【あなたの平均血糖値】とは限らないのです.
したがって,HbA1c=6%なら絶対安心,8%なら心配 というほど単純な関係でもありません.
あまり数字に振り回されないようにしましょう.
[3]に続く
コメント
赤血球の寿命も、個人差があったりしないのかなと思った事はあります。
Hb A1cも、「過去2〜3ヶ月」という先生もいますし、「過去1〜2ヶ月」という先生も。大事な指標の一つではあると思いますが、アバウトな部分も残ってそうですね。
> 赤血球の寿命も、個人差
はい,その通りです.
しかも,仮に 二人の赤血球寿命がまったく同じ,平均血糖値もまったく同じ,そうであったとしても HbA1cが違う場合があるのです.只今 そのあたりを記事にまとめております.