[アイキャッチ画像:UFO (C) マーベル さん ]
医学における『エビデンス』,つまり治療を行うにあたっての『科学的根拠』とは,もちろん必須であり,また軽んじてはいけないですが,むやみに過信することも危険であると,この記事で紹介しました.
それに対して一見 医学論文などを引用して,あたかもエビデンスがあるかのように装う『ニセ医学』を,この記事でご紹介しました. 『よくできた嘘は真実よりももっともらしい』の好例です.
しかし,世の中 上には上があります.
トンデモ医学
というトンデモ医学があります.
ニセ医学までは,一応 現代医学は否定せず,それどころか 現代医学の体裁だけは装って『これこそ現代医学 最高の治療法. エビデンスはこんなに豊富です』という路線でした.
しかし トンデモ医学は,なにしろトンでいますから,現代医学など真っ向から否定,もしくは無視します.
1992年に設立された トンデモ科学を専門に研究する『と学会』によれば,既に学会誌は第42号まで発刊されており,ますますトンデモ科学は意気盛んです.
トンデモ医学の機序
トンデモ医学は,『こんなにもすごい効果がある』と主張するのですが,『なぜそういう効果が出るか』『どういう機序(メカニズム)でその効果が出るのか』については一切 説明しないのが特徴です. ま,できるわけもないですが.
あるいは メカニズムにふれることはあったとしても,それはこういったものです.
- 宇宙波動:宇宙から五次元空間を通じて送り込まれた波動が人体全体を活性化する
- 生体内元素変換: 生体内で,取り込んだ元素が他の元素に(たとえば カリウム Kが カルシウム Caに)変換される. 放射性元素セシウムも 体内で無害な元素に変換することができる
いやもう,なにしろ 一切の制約がないので,なんでもアリです.
笑い話として読む分にはこれほど面白いものはないのですが,これらを真に受けると 時に 命にかかわります.
また『特定の菌を使えば 生ゴミはすべて処理できるのだから,ゴミ焼却費用は無駄遣いだ』と主張した候補者を市長に当選させたため,2011年に小金井市ではとんでもないことになりました.
ただニセ医学にせよ,トンデモ医学にせよ,(それらを提唱している人自身は,自分でも嘘だとわかっているくさいですが)それを信じている人は,もちろんそれらがニセだとかトンデモだとは思っていません.
なぜ,トンデモが一部の方々には受け入れられるのか?
理由は簡単です.
めっちゃ おもしろいから
学術文献はもちろん,純粋に科学に忠実であれば,その内容は実に面白くないです. ウダウダとややこしいことを書き連ねたあげく,結論はスカッとしない. 文章を読んでいても いかにも当たり前か,逆に論理ばかりを突き詰めて堅苦しく,難解な用語を並べ立てて何を言っているのかわからない.
それに比べれば,いや比べなくても,トンデモは圧倒的に面白いです.私も暇つぶしにゲラゲラ笑いたい時は,そういう本に手が伸びます.
なぜ面白いのか. それはトンデモは『考えなくていい』からです. エンタメの条件を完全に満たしています.
『なぜ 健康になるかって? それは 宇宙波動が体の隅々にいきわたるからです』『ああ,なるほど』
これだけでいいからです.
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